ルネサス、クリーンルーム復旧 19日までの生産再開めど

ルネサスエレクトロニクスは10日、火災のあった那珂工場(茨城県ひたちなか市)で半導体を生産するクリーンルームが復旧したと発表した。目標だった火災から1カ月後の4月19日までに生産を再開できる見通しだ。従来の出荷水準に戻るのは「火災から100日前後」としており、今後は製造装置を確保できるかが焦点だ。
半導体製造では、シリコンウエハー上に電子回路を形成する工程などで清浄度の高いクリーンルームが必要となる。那珂工場の火災では建屋1階のクリーンルームの5%にあたる約600平方メートルが焼損し、工場内もすすで汚れた。取引先など社外から最大1600人が支援に入って復旧を進め、9日午後9時ごろに除染作業を終えた。
ルネサス側の見通し通りに生産体制が整えば、出荷量が従来の水準に回復するのは6月末となる。今後は火災で再調達が必要になった製造装置の納入状況が生産、出荷の回復スピードを左右する。
半導体は、新型コロナウイルス下からの急速な需要回復や米北部の寒波による生産停止で需給が逼迫している。車載向けの市場シェアが高いルネサスの供給制約は自動車生産への影響が大きい。野村証券によると、今回の火災による制約で世界の自動車メーカーの4~6月の生産台数が160万台減少する可能性があるという。
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