三井不動産、植田俊氏が社長昇格 「産業競争力を強化」

三井不動産は9日、植田俊取締役専務執行役員(61)が2023年4月1日付で社長に昇格する人事を発表した。菰田正信社長(68)は代表権のある会長に就く。新体制でも東京・日本橋や内幸町などで大規模再開発を進めつつ、ライフサイエンス分野などのスタートアップを支援。オフィスビルや街づくりの競争力向上を目指す。
社長交代は11年6月以来、約12年ぶり。岩沙弘道会長(80)は取締役を経て、来年6月に開催予定の株主総会で相談役に退く。9日開いた記者会見で、菰田氏は「今期業績は過去最高益の見通しで、25年ごろまでの長期経営計画の達成も見えてきた。その先は次世代のリーダーに託すのが望ましいと判断した」と説明。その上で、「人望も厚く新時代を切り開いてくれる」として、植田氏を次期社長に選んだと話した。
今後の事業戦略について、植田氏は「新型コロナウイルスの影響で働き方が多様化するなか、実際に来たくなるオフィスや街づくりを進める」と説明。併せて、「街づくりを通じ日本の産業競争力をより強くする」方針を示した。企業のニーズにあった支援を行い、新たな産業育成や企業成長を後押しするプラットフォーマーのような役割を目指す。
菰田氏は植田氏に対し、「既成概念にとらわれない自由な発想を生かし、大きなビジョンを描いてほしい」とも述べた。三井不は今後、植田氏が中心となって、25年以降の経営計画の策定を議論していく考えだ。
植田 俊(うえだ・たかし)1983年(昭58年)一橋大経卒、三井不動産入社。11年執行役員、15年常務執行役員、20年取締役常務執行役員、21年取締役専務執行役員。京都府出身