「ヨーカ堂売却を」 バリューアクト、セブンに改革提案

米アクティビスト(物言う株主)のバリューアクト・キャピタルは米国時間8日、セブン&アイ・ホールディングスのガバナンス改革を求める提案書を公表した。百貨店のそごう・西武の売却を完了させ、総合スーパーのイトーヨーカ堂の売却意向を早期に表明するなどして、コンビニエンスストアを中心に食品小売業に集中するよう求めた。
提案書では、コンビニ事業への集中や米国をはじめとする海外事業の経費見直しなどによって成長性を高めることなどが必要と指摘した。取締役会の過半数を社外取締役で構成するよう求める主張も改めて掲載。改革を実行した場合、セブン&アイの株価を2倍以上に高められ、1株利益(EPS)は40%改善すると主張している。
具体的には、セブン&アイが売却に向けた調整を進めているそごう・西武について、「経営陣がセブンイレブンに集中できるよう早期に100%の売却を完了させることが最重要課題だ」とした。
祖業でもあるイトーヨーカ堂については、セブン&アイはアパレルや専門店のテナント事業の経営者としては不適格と指摘。売却や独立などによりヨーカ堂は食品小売事業に集中し、不動産管理などは別の企業が運営するのが最適だと説明している。
ロフトや赤ちゃん本舗、ニッセンホールディングスなどの非中核事業も、グループでの相乗効果が薄いとして売却などによる切り離しが必要だとした。

バリューアクトは21年5月までにセブン&アイの株式の4.4%を保有し大株主となり、コンビニ事業への集中と低収益事業のリストラを求めていた。21年7月にセブン&アイが発表した中期経営計画について、内容や改革速度が要求する水準に届かず株主対応も十分でないとの認識を持っていた。
両社は水面下で対話を続けていたが、バリューアクトが22年1月25日に書簡を公表した。社外取締役で構成する委員会を立ち上げ、部門売却や分社化を含む「戦略的選択肢」を検討するよう改革を迫った。
セブン&アイは2月3日、「社外取締役と十分に議論した上で意思決定をしている。株主との対話を増やすことも検討する」という趣旨の回答を発表。事実上、要求を拒否していた。
今後は5月に予定されるセブン&アイの株主総会に向けた動向が焦点となる。バリューアクトは一連の要求を株主提案という形で提出するかは立場を鮮明にしていないが、同じくコンビニへの経営資源の集中を求める米ファンドのアーティザン・パートナーズなど他の大株主と連携し、圧力をかける可能性もありそうだ。
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