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原子の動き「コマ撮り」 東工大などが卓上型装置

東京工業大学や筑波大学などの研究チームは原子のごく短い時間内の動きを「コマ撮り」のように観測できる卓上サイズの装置を開発した。シリコンの結晶に光を当てたときに生じる、50フェムト(フェムトは1000兆分の1)秒以下での結晶構造の変化を捉えることができた。こうした測定には大型の加速器が必要だったが、研究室に収まるサイズに小型化できる。将来の光集積回路の材料開発などに役立つ。

信号処理を光に担わせるメモリーやスイッチの材料内では、100フェムト秒以下といったきわめて短い時間で原子レベルの変化が起きると考えられている。こうした速さで動く原子を簡単に解析できる装置があれば、デバイスの材料を探索しやすくなる。

開発した装置は3メートル四方のスペースに置ける卓上サイズで、大学などの研究室でも利用しやすい。これまでは原子の動きを観測するには高エネルギーの電子線を照射する手法が一般的だったが、大型の加速器が必要だったりサンプルがダメージを受けて1回の測定で壊れてしまったりする問題があった。

今回は10万ボルト以下の低いエネルギーで電子線を加速させる方式を採用した。加速器を小型化できることに加え、測定時にサンプルに与えるダメージが少なく何度も測定できる。合成が難しく貴重なサンプルも使える。

さらに、こうした小型装置では従来実現が難しかったパルス幅が100フェムト秒を切るパルス電子線を発生させる技術も開発した。加速器の温度を0.01度単位で厳密に制御したり、高速通信規格「5G」に使う周波数帯の電磁波制御技術を活用したりした。

半導体集積回路や光集積回路の最も基本的な材料である単結晶シリコンで性能を確かめた。シミュレーションで予想された通り、結晶に光を当てたときに50フェムト秒以下の時間内に生じる結晶構造の変化を観測できた。

今後、協力する企業を探して数年以内の実用化を目指す。研究チームの腰原伸也・東工大教授は「高速で動作する光スイッチの開発などに役立てるため、より短いパルス幅で測定する技術を確立したい」と話す。

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