パイオニア、車載センサーLiDAR撤退「投資回収に時間」

パイオニアが、自動車向け高性能センサーLiDAR(ライダー)の開発をやめたことが分かった。自動運転技術の進展が遅くLiDAR市場が拡大しない中、「投資回収に時間がかかる」(パイオニア)と諦めた。車載LiDARへの参入企業は多く、淘汰が始まった。
パイオニアは2020年、MEMS(微小電子機械システム)ミラーを利用したLiDARを量産した。同社の光ディスク装置などのレーザー関連技術を生かしたいわゆる「ソリッドステート型」である。キヤノンの光学レンズ技術と組み合わせ、レーザー光源と受光素子をそれぞれ1個に抑えることで低コスト化を図ったのが特徴だ。21年には検知距離を120メートルまで長くしたものを投入している。
LiDARは、部分自動運転である「レベル3」に近い水準の機能から必要とされるセンサーだが、現時点の搭載車種は限られる。国内ではホンダがレベル3機能を搭載した「レジェンド」や、「レベル2」だが高機能化したトヨタ自動車の「レクサスLS」などにとどまる。
一方でLiDARの開発競争は激しい。仏ヴァレオを始め、独ボッシュや独コンチネンタルなどメガサプライヤーに加えて多くのスタートアップがしのぎを削る。経営再建中のパイオニアでは、体力勝負の競争に勝ち残るのは難しいと判断したのだろう。
パイオニアは19年に外資系ファンドの傘下に入って経営再建を進めていた。今後は車載通信機を用いたデータ利用などの「サービス事業に集中する」(同社)という。
(日経クロステック 清水直茂)
[日経クロステック 2022年2月8日掲載]
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