煙ほぼなし、自宅で焼き肉もOK 山善ホットプレート

自宅で焼き肉を楽しむときに使うホットプレート。換気をしていても、煙が出たり油が飛び散ったりして部屋が汚れてしまうのが悩ましい。壁紙やカーテンが焼き肉臭くなったり、家具類が油でべたついたりしてしまうのはなるべく避けたい。そんな要望に応えてくれるのが、山善の「煙の少ない焼き肉グリル YGMC-FXT130(XGRILL PREMIUM)」だ。
山善「煙の少ない焼き肉グリル YGMC-FXT130(XGRILL PREMIUM)」(以下、XGRILL PREMIUM)は、肉を焼いた際に出る煙や油の飛び散りを低減したホットプレートだ。形状を工夫した焼き肉プレートと、煙を吸い込むファンを備えているのが特徴で、さしずめ家庭用の「無煙ロースター」といったところ。
山善によると、同様のプレートを搭載した同社の「減煙焼き肉グリル XGRILLシリーズ」は、2021年9月時点で累計11万台を出荷した。年間5万台を超えれば「ヒット」と言えるジャンルだそうで、かなりの売れ行きだ。30~50代のファミリー層を中心に人気があるという。XGRILL PREMIUMはその最上位モデルで、実勢価格は2万1800円前後(税込み)とホットプレートとしては高価格帯の製品になる。調理中の煙を約94%もカットできるというが、価格に見合うだけの効果があるのか確かめてみた。

プレートの構造と吸気ファンで煙をカット
まず、山善が「Xカット構造」と呼ぶ、独自形状の焼き肉プレートをチェックしていこう。
プレート表面は丸みを帯びた格子状になっていて、焼いているうちに出てきた肉の脂が裏面に流れやすくなっている。Xカット構造の名称は、その裏面に並んでいる細かな四角すいが由来だ。表面から流れてきた油分が四角すいの先端付近に素早くまとまり、プレートの下にある受け皿に落ちやすくなっている。油分がプレートに残っていると、高温で燃焼して煙や臭いの元になる。これを防ぐための工夫だ。

次は吸気ファンだ。プレートの側面に吸気口があり、ファンを動作させるとそこから煙を吸い込む。プレートに残った油分が原因で煙が発生しても、それを物理的に吸引してくれる。肉から出た油分を素早く下に落とすプレートと、煙が発生してもそれを吸引するファンという、2段重ねの対策で煙を減らすわけだ。


タッチボタンで操作しやすい
このプレートと吸気ファンがどれだけ効果を発揮するのか、牛肉、豚肉、野菜を焼いて試してみた。
使用前のセッティングは少し手間がかかる。プレートの下にヒーターユニット、さらにその下に遮熱板があり、それらを外すとフィルターとファンユニット、落ちてきた油分の受け皿になる水トレーがある。まず水トレーに水を入れてセットし、遮熱板、ヒーターユニット、プレートを取り付け、電源コードを接続する。


操作はタッチボタンで行う。電源を入れると、温度設定、吸気ファンのオン・オフ、「焼き肉モード」と付属のたこ焼きプレートを使うときの「たこ焼きモード」の切り替えができる。温度は保温~230度の範囲で5段階の設定が可能で、インジケーターによって現在の温度を把握できる。

ほとんど無煙! ファンの効果は絶大
まず、ファンをオフにした状態で焼いてみた。設定した温度になった状態で肉をのせると、焼ける音に続いて焼ける香りが漂い始め、次第に食欲をそそるいい香りになってくる。そのままにしておくと、やがて肉から出た脂が原因なのか、白い煙が目立ち、脂が焦げる臭いが漂い始めた。プレートからは細かく粒子状になった油分がはね上がっている。しかし、スリットのないホットプレートやフライパンで焼く場合に比べると、煙や臭いは明らかに少ない。これはXカット構造が威力を発揮しているのだろう。
ここで吸気ファンをオンにしてみた。ファンの回転音が聞こえてきたかと思うと、それまで立ち上っていた煙がすぐに見えなくなり、ほぼ無煙の状態になった。プレートからはね上がっていた油分の粒子も目立たなくなった。焼き肉をした後の、テーブルまわりの掃除も楽だった。ファンの効果は絶大で。これなら焼き肉をしたことで部屋が煙たくなったり、家具が油でべたついたりすることを減らせそうだ。
ただし、煙はほぼなくなるものの、臭いはあまりなくならない。油分が飛び散るのも完全になくなるわけではないので、台所の換気扇を回すといった、自宅で焼き肉をする際の一般的な対策は継続したほうがいいだろう。
焼き肉をしていて便利に思ったのは、プレートの端にある平面部分だ。スリットのあるプレートでは、もやしのように細い野菜などを焼くと下に落ちてしまうことがある。そうした食材を焼くのに適している。
操作パネルも使いやすい。温度や吸気ファンのオン・オフ状態をひと目で把握して、ワンタッチで操作できる。物理的なボタンやダイヤルがないので、使用後に掃除しやすいのもメリットだ。ファンの回転音もさほど大きくない。肉を焼く音や、家族で食事しているのなら話し声などに紛れてしまう程度で、あまり気にならないだろう。

煙は減少、使用後の掃除は手間がかかる
注意したいのは、使用後の掃除に少々手間がかかること。前述のようにプレート、ヒーターユニット、遮熱板、フィルターとファンユニット、水トレーとパーツが多く、それらを外して個別に掃除しなくてはならない。ファンユニットはふき掃除が基本だが、汚れがひどいときは水洗いが必要だ。そのときは、モーターや電極ピンがぬれないようにビニールをかぶせるなどして保護しなくてはならない。数回使用してみたが、1度の使用でもかなりべたつくので、毎回水洗いしたほうがいいと感じた。フィルターもべたつきやすい。

XGRILL PREMIUMを試した結果、独自構造のプレートと吸気ファンの効果は確かに感じられた。ホットプレートとしては高価格だが、それに見合うだけのメリットはあるだろう。
(ライター 湯浅英夫、写真 スタジオキャスパー、湯浅英夫)
[日経クロストレンド 2022年3月1日の記事を再構成]
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