第一三共の抗がん剤「特許侵害」 米連邦地裁で陪審評決
第一三共は9日、米テキサス州東部地区連邦地裁の陪審が、主力の抗がん剤「エンハーツ」について米シージェン(旧シアトルジェネティクス)の特許を侵害したとする評決を出したと発表した。シージェンの損害額は4182万ドル(約52億円)と判断された。連邦地裁が正式な判決を出すのはまだ先になる見通しだが、第一三共は陪審評決を不服とし、申し立てや控訴を検討する。
訴訟の対象となっているのは、エンハーツに使われている「抗体薬物複合体(ADC)」と呼ばれる技術。がん細胞のたんぱく質とくっつく抗体に薬物を結合させることで、標的のがん細胞に有効成分を運び薬の効き目を高くする。
シージェンは第一三共のADC技術が、シージェンの保有する特許に抵触するとして、2020年10月に提訴した。一方、第一三共側も同年12月、シージェンが申請した特許が無効であるとして米特許商標庁に異議を申し立て、22年4月7日からシージェンの特許の有効性を巡る審査が始まった。
第一三共はシージェンと08年7月からADCの共同研究を行っていたが、新薬開発の成果がでないとして15年6月に関係を解消していた。
第一三共はエンハーツを成長の柱に据えている。19年に米国で製造販売承認を取得。現在は日米欧で販売し、22年3月期の売上収益は連結売上収益の7%にあたる766億円を予想する。
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