Amazon映画『HOMESTAY』ミステリーや青春、魅力満載
アマゾン製作による日本初のアマゾンオリジナル映画『HOMESTAY』が2月11日から世界同時配信でスタートした。本作は森絵都の小説『カラフル』の実写映像化。高校生の身体に乗り移った魂が、家族との葛藤や淡い恋を通して、人との絆や生きる意義を見いだしていくというストーリーだ。

主演は、アイドルグループ「なにわ男子」のメンバーで、現在放送中のドラマ『となりのチカラ』(テレビ朝日系)にも出演している長尾謙杜。主人公のシロを演じる長尾は自身の記憶を失くし、高校生・小林真(こばやしまこと)の身体を借りて"ホームステイ"生活をすることに。真の家族や友人と関わり、真の死の真相に近づく一方で、シロとしても成長していくという難役に挑んでいる。
共演には、近作『彼女が好きなものは』(2021年)をはじめ、映画、CMでの活躍が目覚ましい山田杏奈に、八木莉可子ら注目の若手俳優が集結、監督は、11年に『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』で商業監督デビューを飾って以来、映画『PARKSパークス』やドラマ『セトウツミ』などで評価を得てきた瀬田なつきが務めている。
『カラフル』は原恵一監督がアニメ化(10年)したほか、国内での実写化は今回で2度目。タイでもリメークされた。何度も映像化されている原作を改めて実写化しているが、その魅力は?
「原作の『カラフル』もそうですが、"なぜ死んだのか?"というミステリー要素を、今回の作品ではファンタジー、青春、コミカルでシリアス……と、たくさんの要素を混在させて描いているところがポイントです。ティーンエージャーはもちろん、家族みんなで楽しんでもらえるエンターテインメント性のある作品に仕上がっていると思います」と瀬田監督は語る。
海外からの視点やアイデアも取り入れる
熱演を見せる若いキャストたちについてはこう話す。
「主演の長尾くんは、ほぼ初めての演技だったのですが、臆することなく、現場では常に元気に、楽しんで演技に取り組んでくれました。山田さんとは、映画『ジオラマボーイ・パノラマガール』(20年)も含めて、実は3回目ということもあり、彼女がいてくれるだけで何だか安心できます。今回は、山田さん演じる晶の、(長尾演じる)シロに対する視線や距離感が重要なのですが、そこを本当に上手にくみ取って繊細に演じてくれました。見ている方は切ない晶を応援したくなると思います」(瀬田監督、以下同)
本作はアマゾンオリジナル映画としてプライム・ビデオで世界同時配信になる。監督としてはいつもとは違う意気込みや強く意識したこともあったようだ。
「今までよりも規模が大きく、これまでできなかったVFXやモーション・コントロール・カメラなどを使った撮影にも挑戦し、大きな経験になりました。また、編集などではアマゾンスタジオの海外プロデューサーからの視点やアイデアも取り入れ、多くの人に届くように模索しました。本作をご覧になる方には、主人公のシロと共に、物語を旅して、一緒に何かを見つけてもらえたらうれしいです」
最後に普段、瀬田監督がどういった配信作品を楽しんでいるかを聞いてみた。
「この年末年始は映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』に備えて、過去のスパイダーマンシリーズと、MCU作品を『アイアンマン』から『ホークアイ』まで全作見直しました。いつか壮大な世界観の作品も撮ってみたいですね」
突然、「管理人」と称する謎の人物から、死んでしまった高校生・真の身体にホームステイ生活をすることを告げられる主人公のシロ。そして100日以内に真が死んだ理由を見つけなければ、本当の死が訪れると宣告される。112分。アマゾン・プライム・ビデオで配信中。
監督・瀬田なつき/出演・長尾謙杜、山田杏奈、八木莉可子ほか
(ライター 前田かおり、小沼理)
[日経エンタテインメント! 2022年3月号の記事を再構成]
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