旭化成が最終赤字1050億円 23年3月期、20年ぶり
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旭化成は8日、2023年3月期の連結最終損益が1050億円の赤字(前期は1618億円の黒字)になりそうだと発表した。従来の700億円の黒字予想から一転、03年3月期以来20年ぶりの最終赤字となる。赤字額は過去最大。15年に買収し、米国で手掛ける電池向けのセパレーター(絶縁材)事業で1850億円の減損損失を計上する。
米ポリポア社を15年に約2600億円で買収した。電気自動車(EV)用の需要拡大を期待したが、同社が手掛ける製品とは異なるタイプがEVで主流になり販売が低迷した。鉛蓄電池用も原料高が響いて収益が悪化し、のれんの減損損失を計上する。
ポリポア社の事業を整理し、今後はEV向けで現在主流のタイプのセパレーターに積極的に投資する。電池関連の自国生産を優遇する米インフレ抑制法を追い風に、26年にも新工場を建てる方針を示した。セパレーター全体の生産能力を中長期に現在の3倍に増やす計画は維持する。
同日、小堀秀毅会長(68)が4月1日付で代表権が外れると発表した。同日会見し、引責を踏まえた人事かを問われた工藤幸四郎社長は「そういう意味は入っていない」と説明した。
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