NTT東西、24年1月から固定電話をIP網に順次移行

NTT東日本とNTT西日本は8日、固定電話網に光回線を使った「IP網」に移行する計画について、2024年1月から順次切り替えを進めると発表した。企業間の商品受発注やATMのバックアップ回線で使うデータ通信を含め、24年夏頃にはIP網に完全移行すると見込んでいる。
企業活動で幅広く利用される「INSネット」のデータ通信サービスについては、地域ごとに3段階に分けて移行する。1月2日に山形県と鳥取県で移行し、同17日には山形県を除く東北5県、鳥取県を除く中国4県と四国4県に広げる。同31日には残る都道府県で実施する。移行が間に合わない企業には別途対応策を用意し、27年ごろまで現状のサービスを提供する。

通信業界ではNTTドコモ(21年10月)やKDDI(22年7月)が、ネットワーク工事に伴う大規模な通信障害を相次いで引き起こしている。IP網への移行にあたっては「事前の検証に加えて、トラブル発生時には現場の判断で迅速な切り戻しができる体制にしている」(NTT東日本の新国貴浩中期経営戦略推進室長)という。
固定電話の電話会社を選べるサービス「マイライン」と「マイラインプラス」は23年11月30日に新規受け付けを終了する。IP網に移行後の通話料金は、全国一律で3分あたり9.35円になる。これまでは距離に応じて通話料金が決まっていた。
現在の固定電話網で利用する交換機の一部はすでに製造が終了している。IP網に移行しなければNTT東西には多額の設備投資負担がかかる。
IP網への移行にあたり、利用者が新しい電話機を購入したり切り替え工事をしたりする必要はない。NTT東西の両社は悪質な勧誘への注意を呼びかけている。