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アリババ「消費者巻き込み脱炭素」 日本法人取締役

蔣微筱氏「公益アプリ、5億人が利用」

「脱炭素と消費者の利便性向上は両立できる」と話す蒋氏

アリババ集団は5月、カーボンニュートラルに向けて取り組みを発表した。脱炭素に関して大きな方針が3つある。①技術革新の加速②顧客や取引先に対する脱炭素の呼びかけ③サービスを利用する消費者が低炭素型のライフスタイルに移行できるよう促す取り組み――の3つだ。

アリババは電子商取引(EC)や決済アプリ、クラウドなどの事業を展開している。プラットフォーム企業ならではの影響の大きさを生かしたい。1つ目の「技術革新」としては、大規模データセンターの電力消費削減があげられる。

昨年、中国・杭州に建設したデータセンターには最新技術を注ぎこんだ。サーバーを専用の液体に浸して冷却する世界最大の液冷式システムを採用し、空調に比べて冷却の効率をあげている。広東省のデータセンターは22年までに二酸化炭素(CO2)排出ゼロの電源に100%転換する予定だ。今後も中国国内のデータセンターで太陽光など再生可能エネルギーの利用率を上げていく。

2つ目の「呼びかけ」では、傘下物流会社の菜鳥が通販の過剰包装を減らすため、荷物の大きさに応じて包装を最適化するアルゴリズムを開発した。こうしたシステムの普及がすすめば中国で約500億個の小包を軽量化できる。配送時間の短縮や段ボール回収なども進めている。通販に出店する事業者や物流会社など参画企業は多岐にわたり、アリババはこうした物流システムを提供していく。

3つ目の「消費者支援」では、個人の好みに合った商品を表示する精度を高めるなど、システムにかかる負荷を減らしている。こうしたアルゴリズムの改良で、6月の国内最大級のネット通販セールでは、1注文あたりの温暖化ガス排出量を前年比18%削減した。消費者に選ばれるような利便性の向上と脱炭素は両輪で進められる。

決済アプリ「支付宝(アリペイ)」を手掛けるアント・グループは、グループ内でもいち早く脱炭素に取り組んでいる。独自に30年のカーボンニュートラルに向けた目標も打ち出した。取り組みの代表例が16年に開発した公益アプリ「アントフォレスト」だ。

車を使わずに歩いた歩数に応じてポイントが付与され、ポイント数に応じて仮想空間で木が育つ。一定程度育てば、実際に植林して動画などで自然保護区の様子を見ることができる。

植林資金はこれまでアントが担ってきたが、アプリに参画する協賛企業が増えている。アプリ利用者は食事の出前でプラスチック容器を選ばない、環境配慮車を運転する、といった選択をするとポイントがさらにたまる仕組みだ。ゲーム性もあり、現在は5.5億人超がアプリを利用。これまでに乾燥地帯などに2億本以上の木を植えた。

急激な経済成長に伴い中国では大量消費型の生活習慣が浸透してきたが、人々の意識は変わりつつある。アントフォレストはヘビーユーザーが増えており、個人が継続的に環境対策に関わる一つの手段となっている。中国国内で10億人が利用するアリペイと連携し、プラットフォーマーの影響力が存分に発揮されている。

サーバーの液冷システムや物流の効率化、ブロックチェーン(分散台帳)を活用した原産地証明などはいずれもまだ始まったばかりで、様々な技術を模索している。アリババとしても脱炭素はまだスタート地点に立ったばかり。先進的な国や企業を見習いながらすすめていきたい。

(聞き手は薬文江)

微筱(ジャン・ウェイシャオ) 2010年アリババ集団に入社後、同社傘下の企業間取引「アリババドットコム」やネット通販サイト「天猫(Tモール)」などに携わった。アリペイ日本責任者として決済アプリ「アリペイ」の導入拡大に尽力。7月からアリババ日本法人の取締役も兼務する。
カーボンゼロ

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