フジクラ、4年半ぶり高値 今期上方修正を好感
銘柄診断
8日の東京株式市場でフジクラ株は一時、前週末比134円(17%)高の918円と、2018年2月以来約4年6カ月ぶりの高値をつけた。5日に2023年3月期の業績予想の上方修正を発表。円安に加え、上海でのロックダウン(都市封鎖)による影響が想定より早く収まったことを受け、業績が改善することを好感した買いが集まった。

終値は126円(16%)高の910円。今期の連結純利益を前期比13%減の340億円の見込みと発表。従来予想(42%減の225億円)から減益幅が縮小する。主力製品の光ファイバーケーブルなどの製造に必要なヘリウムの調達難の影響も想定より低いとみる。
一方、今回の上方修正は上期(4~9月期)の業績予想の修正を基にしており、下期(22年10月~23年3月期)については当初計画を据え置いている。為替動向や、ヘリウムの調達懸念など不透明な部分が多いためという。大和証券の尾崎慎一郎シニアアナリストは「ヘリウムの調達難により増産の制約になる可能性はある」と話す。
フジクラの予想PER(株価収益率)は7倍台。同業の住友電気工業(12倍)などより割安感はあるが、「半導体不足による自動車用ハーネスの落ち込みなどの懸念材料も残り、安定的な評価がしにくい状況は続く」(松井証券の窪田朋一郎氏)との声が聞かれた。