車や家電が手に入りづらい 半導体不足は解消するか
2022年度、ビジネスここがポイント

新車の納車が半年後、パソコンやカメラの新製品が手に入らない、発光ダイオード(LED)照明が品薄――。いま車やエレクトロニクス製品が手に入りづらくなっています。2021年から続く半導体不足のためです。記憶や演算など様々な役割を担う半導体部品は私たちの生活に欠かせません。そんな「必需品」がなぜ足りなくなったのでしょうか。22年度は解消に向かうのでしょうか。参考になる記事を選びました。(江口良輔、内容や肩書などは掲載当時のものです)
半導体不足、なぜ起きた?
半導体不足の発端は、新型コロナウイルスの感染拡大前にさかのぼります。19年に米国が中国への経済制裁に踏み切ったことで、半導体のサプライチェーン(供給網)に目詰まりが生じ始めました。そこに新型コロナによる生活様式や需要の変化、天災などによる半導体工場の稼働低下などの要因が重なり、問題が大きくなりました。
最終製品にどのような影響?
半導体の種類は様々です。代表的なものはスマートフォンの進化を支えるCPU(中央演算処理装置)や記憶装置のメモリー、動作を制御するマイコンなどがあります。LEDも半導体の一種です。製品によって需要と供給の度合いは違いますが、半導体不足は続いています。車や家電など幅広い分野で影響が出ています。

半導体の供給量まだ足りない?
各社の半導体工場はフル生産の状態です。生産能力を増やすため、台湾積体電路製造(TSMC)やインテルなどは相次ぎ工場新設を決めました。各国・地域の政府も補助金や政策を打ち出しています。日本でもTSMCがソニーグループと工場建設を決め、自動車部品大手のデンソーも出資を決めました。ただ新工場が動き出すには時間がかかります。需給バランスの回復は時間がかかりそうです。
まだある半導体不足解消のハードル
半導体需要が増え、製造工程で使う装置や素材も不足気味になっています。各社が積極的に投資を進めていますが、こちらも時間が必要です。ロシアによるウクライナ侵攻で希ガスや希少金属などの供給にも影響が出そうです。需要が供給を上回る状況が続けば、価格が上昇しかねません。足りないのは素材や装置だけではありません。工場の運用や立ち上げを担う人材も不足感が指摘されています。