日産、2050年に製造時CO2排出量ゼロ 再エネ活用

日産自動車は8日、2050年に世界の工場で製造時の二酸化炭素(CO2)の排出量をゼロにすると発表した。石油など化石燃料を使う生産設備をすべて電動化し、電力は工場に設置した太陽光発電など再生可能エネルギーでまかなう。バイオエタノールや水素など代替燃料を使った発電システムも導入する。
8日、栃木工場(栃木県上三川町)を報道陣に公開した。日産の坂本秀行副社長は「50年に工場の動力を基本的に電動化し、その電気を再エネと代替燃料にすべて置き換える」と説明した。
日産は1月に原材料の採掘から車の製造、廃棄までライフサイクル全体で50年までにCO2排出量で実質ゼロ(カーボンニュートラル)を目指すと発表している。その一環で製造時の温暖化ガスを排出ゼロにしていく。
生産設備の電動化に加え、太陽光発電や風力などの再エネを活用する。またバイオエタノールや水素などでつくった燃料電池を使って発電し、電力の自給自足を進める。
燃料電池の発電システムは22年から栃木工場に導入して実証実験し、徐々に各工場に広げて、30年の本格導入を目指す。
50年までの中間地点にあたる30年には、19年に比べ4割削減する。新たな塗装設備も導入する。車体やバンパーを同時に塗るなどしてエネルギー効率を上げる。日産は05年から19年まで車1台当たりのCO2を30%削減し、19年を起点に削減率を検討したとしている。
自動車各社は製造時のCO2削減に動く。トヨタ自動車は6月、35年に世界で製造時のCO2排出量を実質ゼロにすると発表し、50年だった目標を前倒しした。独フォルクスワーゲン(VW)は、「VW」ブランドで25年までに生産時の1台あたりCO2排出量を15年に比べ半減する。
日産は8日、30年までに日本と米国の4カ所の工場を最新設備に置き換える方針も明らかにした。すでに栃木工場の生産ラインにロボットで車を組み立てる設備を導入している。栃木と同じ設備を福岡県や神奈川県の国内2工場に導入するほか、米国の2カ所の工場にも取り入れる。今後、電気自動車(EV)などの需要が増えるため、安定して電動車をつくる体制を整える。

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