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東映アニメ、AIで描写の質向上 作業時間6分の1に

NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞
AIで風景写真をアニメの絵のように変換する

東映アニメーションがアニメの制作を効率化するため、人工知能(AI)技術を活用する実験を進めている。東映アニメが制作過程にAI技術を取り入れるのは初めて。背景描写に要する作業時間を、これまでの6分の1にまで短縮できるケースもあった。浮いた時間を使って、より良質な作品の制作や新たなアイデアの創出につなげる。

東映アニメはAI開発のプリファード・ネットワークス(東京・千代田)が持つ画像変換技術などを使って開発したツールを活用する。

風景写真をアニメ調に変換

実際の風景写真をアニメのような絵に変換し、背景描写の作業の効率化を試みる。手作業だと約4時間50分かかる作業が、AIを使えば約50分で済む。

東映アニメの今村幸也テクノロジー開発推進室長は「コストもかかるため、会社としてリスクをとる必要がある決断だった」と振り返る。

同社はこれまで、アニメの制作管理や作画工程のデジタル化を進めてきた。「AI技術の活用は作画工程がデジタル化したからこそできた」と今村氏は話す。

作業工程をAI技術で効率化すれば、その分制作サイドは新たなアイデアの発案や細かな作業に時間を割ける。今村氏は「アニメそのものの質を向上させることができる」と期待を寄せる。

帝国データバンクの調査によると、国内アニメ制作の市場規模は2018年に2400億円を突破した。20年のコロナ禍でもアニメ「鬼滅の刃」などが大ヒットしており、企業にとっては収益を見込める。海外に売り込むコンテンツとしてもアニメの重要性は増している。

帝国データバンクの飯島大介氏は「放映本数が増加するなか、視聴者はアニメの質の向上を求めている」と説明する。結果として「制作者1人あたりの仕事量が増えている」と話す。

アニメ制作の過程でAI技術の導入が進んだとしても、アニメ業界で長らく課題とされてきた人手不足を解消するまでには至らないとの見方が大半だ。

東映アニメの今村氏は「AI技術の活用によってアニメ制作にかかるコストや工数が削減されれば、より多くのアニメを作るよう求められることになる」と語る。

AI活用はまだ実験段階

現時点ではAI技術の活用はまだ実験段階だ。選んだ写真によってはうまく画像を読み込めず、AIを活用した場合と手作業とでほぼ作業時間が変わらないこともあり、課題は少なくない。

今村氏はさらに実験を進めて、AI技術をキャラクターデザインや編集といった、アニメ制作工程のあらゆる場面で活用していきたいと意気込む。

(大貫瞬治)

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