三菱地所、東京駅前のトーチタワーに超高級ホテル

三菱地所などは8日、東京駅前に建てる日本一の高さのビル「トーチタワー」に、欧米で高級ホテルを運営するドーチェスター・コレクションが進出すると発表した。同コレクションの出店はアジアで初めて。客室数は約110室で、2028年度に開業する予定。ホテルブランドや価格は明らかにしていないが、1泊10万円を超えるもよう。
トーチタワーは62階建てで、53~58階にホテルが入る見通し。三菱地所はリース大手の東京センチュリーと設立した特別目的会社(SPC)を通じてホテルを開発・所有し、ドーチェスター・コレクションにホテルの運営を委託する。
ドーチェスター・コレクションは欧米で9つの超高級ホテルを運営する。ロンドンの「ザ・ドーチェスター」やパリの「ル・ムーリス」、ローマの「ホテル・エデン」など各国で高い評価を受けるホテルブランドを持つ。各国首脳や皇族らも泊まるホテルとして知られる。

その国や都市の歴史や文化などを取り入れ、ランドマーク的な存在のホテルをつくり出すのが特徴。全客室に占めるスイートルームの割合が比較的多いとされ、特別な体験を求める世界の富裕層の間でファンが多い。
トーチタワーのホテルは、東京・丸の内地区の立地や地上300メートルを超える場所からの眺望を生かしつつ、高水準のおもてなしを提供する。国内外の富裕層を呼び込み、周辺エリアの魅力向上を目指す。
三菱地所の吉田淳一社長は8日開いた記者会見で、「一つ一つのホテルがその場所で強い個性を持ち特別な存在となっている。従業員らを大切にしており、ホスピタリティーがラグジュアリーにつながると感銘を受けた」とドーチェスター・コレクションを選んだ理由を説明した。

同社のクリストファー・カウドレー最高経営責任者(CEO)は「世界でも活気のある都市に特別な体験ができるホテルを出すことで、顧客の幅を広げることができる」と語った。
三菱地所は「トウキョウトーチ」と名付け、21年に東京駅前に地上40階建ての「常盤橋タワー」を開業した。28年には隣接地に高さ390メートルのトーチタワーを完成させる予定で、エンタメホールや高級賃貸住宅も設ける計画。高級ホテルを誘致してビルや街の価値を高めたい考え。