お笑いのインポッシブル まさかの女性ファン増加中!?
巨大昆虫に戦いを挑むネタや、必殺仕事人のパロディーコントなどで、お笑い好きに親しまれてきたインポッシブル。バトルで臓器や血しぶきが飛び散る様子を身ぶり手ぶりで表現するなど、荒々しい芸風で知られている。

昨年、そんな芸風とは異なるポップな女子高生キャラクター「JKボンバーズ」を『有吉の壁』(日本テレビ系)で披露したところ、ツイッターでトレンド入りするなど大きな話題に。その影響からか、「ライブは男性のお客さんが95%だったのが、女性が25%くらいまで増えてきました」(えいじ)という。
かわいい振り付けで「なんだかんだ、アナコンダ」「まっすぐ進め、マッスルすずめ」といったダジャレを織り交ぜた歌ネタを展開するJKボンバーズは、「もともとはリズムネタを披露するライブのために作ったもの」(ひるちゃん)だった。「当初は普段の僕らの格好でやっていたんです。『有吉の壁』に持っていくときに、ひるちゃんが『女子高生の格好でやったら面白そう』と言い出して。思っていた以上に反響が大きくて驚きました」(えいじ)
結成は2005年。吉本総合芸能学院(NSC)東京校で出会い、えいじから誘う形でコンビを組んだ。「当時、夏合宿を乗り切るためだけのトリオを組んでいたんですが、真剣に声を掛けられて目が覚めました。即席トリオを組んでいる場合じゃない、ちゃんとやらないとダメだって」(ひるちゃん)
NSCの同期には、オリエンタルラジオ、はんにゃ、フルーツポンチなど、早くからテレビで活躍する芸人が多く、「めちゃくちゃ嫌でした」とえいじは振り返る。「1番ショックだったのが、トレンディエンジェルが『M-1』で優勝したとき。うるとらブギーズが『キングオブコント』で準優勝したときも嫌だったな~(笑)。傷をなめ合っていた仲だっただけに、置いていかれた気がして」(えいじ)、「ギスギスした時期はありました。僕がお弁当食べてるだけで、咀嚼(そしゃく)音がうるさいって怒られたり(笑)」(ひるちゃん)。
ネタ作りは2人で一緒に考えているそうで、「単独ライブの前に集中して新ネタを作るんですが、毎年10本くらい作って、テレビでできそうなのは1本くらい」(ひるちゃん)、「下ネタ、グロが多いんで、JKボンバーズをきっかけに来てくれた女性客はすぐに離れてしまうかも。でも臭い部分も知ってもらわないと」(えいじ)と語る。
『有吉の壁』以外で転機になった仕事は、「チョコプラ(チョコレートプラネット)のYouTubeチャンネル。プライベートでごはんをおごったこともなければ、遊んだりする関係性もないのに声を掛けてくれて。めちゃくちゃお世話になってる後輩です(笑)」(えいじ)、「1年下だけど、足を向けて寝られないです」(ひるちゃん)と明かした。

テレビの仕事が増えて困っていることとして「ファンレターをもらうようになって、うれしくて……困っちゃいます」とえいじが答えると、ひるちゃんが「何言ってんの!? スーパーアイドルみたいな発言じゃん」とすかさずツッコんで笑わせる。
今後やりたいことは、「『アイ・アム・冒険少年』(TBS系)の無人島脱出みたいな、体当たり企画のロケ。あと、YouTubeの登録者数で、まずは10万人を目指します」とえいじ。ひるちゃんも「以前ラジオをやったときにすごく楽しくて。レギュラーでできたらうれしいです。新しい仕事にもどんどん挑戦したい」と前向きだ。
JKボンバーズ効果で女性ファンが増えてもペースを崩さず、やりたい笑いを追求している2人の充実ぶりが伝わってきた。
(ライター 遠藤敏文)
[日経エンタテインメント! 2021年11月号の記事を再構成]
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