ASUSの新ゲーミングノート 最新CPU搭載で驚異の性能
戸田覚の最新デジタル機器レビュー

エイスーステック・コンピューター(ASUS)から、モバイルでも利用できるゲーミングノートパソコン「ROG Flow Z13」が新たに登場した。「ゲーミングノート」と聞くと、自分とは関係ないと思うビジネスパーソンも少なくないだろう。だが、最近はゲーミングノートを「高性能なパソコン」として意図的に手に入れる人も増えている。動画の編集など、ゲーム以外の用途でも高い性能が生かせるからだ。
今回の新製品の見どころは、米Intel(インテル)の最新CPU(中央演算処理装置)を搭載したことだ。その性能を併せてチェックしていこう。
スリムなボディーに驚きの性能
ROG Flow Z13は、タブレットスタイルの本体に外付けの薄いキーボードが付くタイプだ。マイクロソフトの「Surface Pro」シリーズと同様、ノートパソコンの中でも極めてスリムなカテゴリーに入る2in1モデルとなっている。本体にスタンドを備えており、それを使って自立する。


本体重量はカタログ値で約1.18キロ。キーボードを取り付けた状態で、キッチンスケールを使って計測してみたところ、1.5キロ程度だった。これなら十分持ち歩ける軽さだろう。
こんなミニマムなモデルにもかかわらず性能は驚異的だ。搭載するCPUは、最新のIntel 第12世代「Core i9-12900H」となる。型番の末尾に「H」が付くタイプはゲーミングやクリエーティブ向けで、一般向けのモバイルノートよりも一段上の性能を発揮する。
Core iシリーズはこの世代から一気にコア数が増えた。14コア20スレッドという、とんでもない構成に進化したのだ。CPUの話だけでも長々と書き続けられるが、ポイントは「前の世代より数段高性能化した」と考えていただければよいだろう。
ベンチマークテストの結果も驚くばかりだ。1~2世代前の高性能デスクトップを凌駕(りょうが)するスコアをたたき出している。それが、こんなにスリムなボディーに収まっているのだから驚かされる。

高性能化のため、冷却には徹底してこだわっている。スリムなボディーは放熱用の穴がたくさん開いている。またCPU冷却用の「CPUクーラー」とCPUの隙間を埋めるために、極めて熱伝導率が高い「液体金属グリース」を採用している。
拡張性が高く外付けGPUに対応
ディスプレーは13.4インチで縦横比が16対10となる。4K(3840×2400ドット)もしくはWUXGA(1920×1200ドット)が選択でき、どちらも最大輝度500カンデラ毎平方メートルと非常に明るい(今回は後者をレビュー)。WUXGAはリフレッシュレート(1秒間に画面を書き換える数)が120ヘルツ(毎秒120回)と高いので、動画もスムーズに動くだろう。まさにゲーム向きだ。
拡張性は最低限といったところ。USB Type-C端子が2基(うち1つは外付けのグラフィック強化モジュールを接続する際に利用する)、USB Type-A端子が1基となる。


HDMIなどさらなる拡張性を求めるなら、別売の外付けグラフィック強化モジュール「ROG XG MOBILE」を接続すればよい。ROG XG MOBILEは2モデル用意されており、画像処理半導体(GPU)としては「GeForce RTX 3080」または「同RTX 3070」を選べる。いずれもノート用としては強力なGPUだ。


充電は100ワット入力に対応。共通充電規格「USB Power Delivery (USB PD)」に対応しており、USB Type-C端子から充電する。超高性能のモデルの割には付属のACアダプターがコンパクトなのはうれしい。市販品も利用できる。ROG XG MOBILEからも給電は可能だ。バッテリー駆動は、カタログ値で8.1時間となっている(モデルによる)。

ゲーミングPCらしい楽しさも
キーボードはLEDバックライトを搭載し、設定で色や光り方を変えられる。本体背面にはガラス張りの装飾があり、本体の中身が見えるようになっている。こちらにもLEDライトが搭載されており、カスタマイズもできる。ゲーミングパソコンらしい楽しい演出だ。


キーボードは極薄型タイプながら非常に打ちやすい。ストロークがしっかりと確保されているので、快適にタイピングできる。また、別売のペンにも対応しており手書き入力も可能だ。

公式オンラインストアでの販売価格は25万円程度(変動することもある)。性能・機能を考えると十分に現実的な価格で、これなら手に入れたいと思う人も多いだろう。ゲーム以外の用途に使っても見合うだろう。
1963年生まれのビジネス書作家。著書は150点以上に上る。パソコンなどのデジタル製品にも造詣が深く、多数の連載記事も持つ。ユーザー視点の辛口評価が好評。
関連リンク
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。