キリン、食器に電気流し塩味5割増し 明治大学と開発

キリンホールディングス(HD)は7日、特殊な波形の電流を流すことで、減塩食の塩味を5割増しにする食器「エレキソルト」を明治大学と開発したと発表した。食品の塩分量を変えずに塩味を強く感じられるようになれば、塩分の摂取抑制につながるという。
エレキソルトはおわん型とスプーン型で、人体に影響のない微弱な電流を流す。食品や唾液などに含まれるナトリウムイオンを舌にある味覚の受容体に集め、塩味を強く感じるようにしたという。流す電流の強さによって、感じる塩味の強さを変えられる。
減塩食品を手掛けるノルト(兵庫県宝塚市)、料理雑誌を発行するオレンジページ(東京・港)と11日、実証実験を始める。日常生活でエレキソルトと減塩食をセットで利用する検証を11月まで行い、2023年に国内販売を目指す。
厚生労働省によると、日本人の1日の塩分摂取量は20歳以上の男性が10.9グラム、女性は9.3グラム。世界保健機関(WHO)が推奨する「1日5グラム未満」を上回る。キリンHD新規事業グループの佐藤愛氏は「エレキソルトを実用化して家庭で使ってもらい、食塩の取り過ぎという社会課題の解決を目指したい」と話した。