ヒト型ロボ、ギアの樹脂化で軽く省エネに 早稲田大など
早稲田大学の大谷拓也次席研究員らは三井化学などと共同で、金属に代えて樹脂製のギア(歯車)を使った指型のロボットを開発した。ギアの重さが従来の10分の1に減り、摩擦も減ることでロボット駆動時の消費エネルギーを3%減らせた。2023年度をめどに開発する投球ロボットに搭載する予定だ。

ロボットの軽量化や省エネに向けて、カギを握る要素の一つが関節部などを駆動するギアの軽量化や摩擦の低減だ。一般的なギアは金属製で、人の手をまねたロボットをつくると約700グラムと人間の手と同程度の重さになる。
研究グループは三井化学が開発した「リュブマー」と呼ぶ樹脂素材を使ったギアを開発した。リュブマーは分子量が非常に大きいポリエチレン素材で、通常のポリエチレンよりも摩擦が少ないなどの特徴がある。ギアの重さを金属製の約10分の1にでき、油をさす必要もなくせる。
開発した樹脂製ギアで指型ロボットを試作したところ、金属製ギアを使った場合と比べて駆動時の消費エネルギーを約3%減らせた。電池の駆動時間を約3%伸ばせる。樹脂製ギアで全身のヒト型ロボットを作れば「どのような動きをさせるかにもよるが、10~20%のエネルギー効率向上につながるのではないか」(大谷次席研究員)。
ただし樹脂素材は金属よりも強度が劣るため、現時点で樹脂製ギアは負荷が比較的小さい部位にしか使えない。今後、負荷が大きい部位にも使えるように改良する。投球ロボットのほか、ヒト型ではないロボットにも応用したい考えだ。
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