UAゼンセン、「適正な値上げ」促すよう政府に要請

流通や外食、繊維などの労働組合が加盟するUAゼンセンは7日、急激なインフレ下で賃上げの原資を確保するため、商品やサービスの適正な価格転嫁を企業に促すよう政府に求めた。ガソリン税の一部を引き下げる「トリガー条項」の凍結解除など、エネルギー価格の高騰対策も要望した。
UAゼンセンの松浦昭彦会長が加藤勝信厚生労働相に要請書を手渡した。加盟団体の8割にあたる約1800組織の署名を添付した。
物価上昇分を賃金上昇で補う必要性を政府が経済団体や国民に訴え、賃上げを促す助成金制度などを拡充することも求めた。一定の所得を超えると税や社会保険料の負担が生じる「年収の壁」についても触れ、松浦会長は「難しい問題だが、議論にとどまらず何らかの対応が必要だ」との考えを示した。
UAゼンセンは国内最大の産業別労組で、約2200組合が加盟し、185万人の組合員がいる。物価高騰で組合員の実質賃金が目減りするなか、2023年の春季労使交渉で団体結成後で最高水準となる6%程度の賃上げを求めている。
賃上げは賃金水準を一律に引き上げるベースアップと、勤続年数が上がるごとに増える定期昇給からなる。2014年春季労使交渉(春闘)から政府が産業界に対し賃上げを求める「官製春闘」が始まった。産業界では正社員間でも賃金要求に差をつける「脱一律」の動きが広がる。年功序列モデルが崩れ、生産性向上のために成果や役割に応じて賃金に差をつける流れが強まり、一律での賃上げ要求の意義は薄れている。