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減らぬ通勤、鉄道で減便撤回 移動抑制効果に疑問も

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JR東日本や西武鉄道は減便を一部で取りやめた

東京など4都府県に発令された緊急事態宣言が延長となる見通しの中、JR東日本や西武鉄道が要請のあった減便について、混雑を避けるために取りやめる異例の事態となった。東京都などの要請に応じて10以上の事業者が通勤時間帯に減便したが、近距離移動では予想ほど人流が減らず、感染リスクが高まりかねないと判断したためだ。

6日朝、JR山手線を利用したという男性会社員(42)は「コロナ以前ほどの混雑ではないが、宣言の発令中とは思えないくらい混んでいた」と話した。昨年と違い、自身もなし崩し的に出社頻度も高まっているといい、「在宅勤務や時差出勤など働き方を変えないと意味がないのではないか」と指摘する。

都などは鉄道会社に対し、4月29~5月9日の連休中の平日について、土休日ダイヤでの運行や減便を要請していた。JR東日本では山手線、京浜東北・根岸線など7路線で減便し、朝の通勤時間帯は7路線で1日あたり88本、午後の帰宅時間帯は3路線で13本の運行を取りやめる計画とした。通常に比べて朝は2割減、午後は1割減での運行だ。だが6日の混雑を受けて、7日は通常の平日ダイヤでの運行に踏み切った。

JR東によると、GW期間の4月30日の山手線の朝の通勤時間帯の利用者は連休前の26日の7~8割程度で、列車削減による混雑や遅延などは見られなかった。だが、5月6日には利用者数が95~100%と連休前とほぼ同水準に。削減した列車の前後では乗車率が180%を超える場合もあった。

他にも西武鉄道は6、7日で一部路線の運休を取りやめた。池袋線、新宿線、拝島線の計9本で、始発駅を変更したり運休したりする想定でいたが、運休としていた新宿線、拝島線の通勤急行や急行では「予想より利用が多かった」(同社)といい、密を避けるためにも平日ダイヤでの運行に切り替えた。

減便初日の30日に係員が直接目視で混雑状況を確認したところ、運休としていた新宿線、拝島線の通勤急行や急行では前後の列車で乗りかえに便利な車両などで混雑が見られたという。一方で始発駅の変更などをする池袋線では大きな混雑は見られなかったため計画通り減便とし、運行変更のやり方によって違いも見られた。

他の鉄道会社ではそもそもの減便の規模が小さかったり、利用が多い主要路線以外などで減便したこともあり、減便を継続する社も多く対応は分かれた。ただ、「政治が移動自粛の雰囲気作りとして決めた以上、減便に対応するが、どれだけ人流の抑制に効果があるのかは疑問だ」(大手鉄道幹部)とやり方自体に懐疑的な意見もある。

緊急事態宣言は期間が延長される見通しだが、7日午前時点ではJR東など鉄道各社に延長によるさらなる運行調整の打診などは来ていないという。「鶏が先か、卵が先か」という問題もあるが、感染拡大を防ぐためには移動手段だけでなく移動の目的となる通勤など社会全体での取り組みが不可欠だ。(岡田江美)

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