NECと長崎大、途上国新生児ワクチンを生体認証で管理
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NECと長崎大、ケニア中央医学研究所は7日、発展途上国向けに新生児のワクチン接種記録を管理するシステムを開発したと発表した。新生児の指紋と母親の声の認証を照合することで、新生児の指紋が認証しにくい課題を解決する。新生児のワクチン接種履歴を生体認証にひもづけて管理するのは世界でも珍しい。2022年秋からケニアで実証実験を進めており、23年内の本格導入を目指す。
生体認証を使うことで、本人確認をする病院職員や保護者への負担を減らす。生まれた日に新生児の左右の手から親指、人さし指の合わせて4本の指紋を撮影し、保護者の声情報をひもづける。声認証は保護者本人と子どもの名前を言う程度の時間で認証が可能で、情報登録やワクチン接種時の認証にかかる手間が少ない。
誕生直後には新生児の指紋を精緻に撮影するのが難しい。そこで左右の親指、人さし指の合計4本について、指紋の渦の形で照合する方式を採用した。4本の情報を組み合わせて照合することで精度を高める。
実証実験ではケニアの病院で3月まで実施する。参加を希望する保護者と新生児の合わせて約1000人を対象とする。生後24カ月までに打つ8種類のワクチンや1種類のビタミン投与について、実施履歴と計画を生体認証にひもづけて記録する。
NECは生体認証を活用した個人情報管理システムの開発に強みを持つ。情報管理の仕組みが十分整備されていない新興国での需要が強い。ベトナムでは14歳以上の国民全員が利用するIDカードに指紋認証と顔認証のシステムが採用された。新興国で実績を積み上げ、プライバシー保護のための技術開発やルール作りを進める。