位置情報共有アプリ「ゼンリー」終了 後継アプリ人気

1990年代半ば以降に生まれた「Z世代」に絶大な人気を誇った位置情報共有アプリ「zenly(ゼンリー)」が2月3日にサービスを終了する。ゼンリーを買収した米スナップの業績悪化によるリストラが主因だが、後継をめざすアプリが生まれダウンロード数を伸ばしている。
ゼンリーはフランス発の位置情報共有アプリで、電話番号やIDでつながった人の現在地を確認できる。10代を中心に、友達との待ち合わせや、恋人や仲間との情報共有に使われてきた。世界の月間利用者は一時3千万人を超え、日本の利用者が最も多かった。
ゼンリーがサービスを終了することから、機会を逃すまいとゼンリーの後継をめざすアプリが続々と登場している。特に日本発の開発が活発だ。
2022年12月にリリースした「whoo(フー)」はゼンリーの機能を踏襲した。提供するLinQ(東京・渋谷)の原田豪介社長は「利用者の9割ほどは中高生だ。友人と仲を深めるツールとして、面白さを追求していきたい」と語る。
22年10月にリリースされたSuishow(東京都武蔵野市)の「NauNau(ナウナウ)」は同社社長で早稲田大3年の片岡夏輝氏が個人で開発した。ゼンリーと同様に位置情報の共有機能や友達とのチャット機能、これまで訪れた場所が記録される「足跡」機能を備える。
片岡氏は「ゼンリーのユニークさに魅力を感じて、趣味でつくってみたのが始まりだったので反響に驚いた」と話す。
米アップルの「アップストア」の無料SNS(交流サイト)ランキングではフーやナウナウといった位置情報共有アプリがトップ10入りし、ダウンロード数でナウナウは250万、フーは数百万に達している。
いずれのアプリも現在は無料で提供しているが、今後壁となるのは収益化の問題だ。ゼンリーは17年に米スナップが買収して利用者数を伸ばしてきたが、22年9月にサービスの終了を発表した。広告を入れずに提供してきたゼンリーは収益化モデルを構築できておらず、スナップの経営不振に伴い重荷になったとみられる。
ナウナウでは一時的に広告を入れたことがあったが、「一定の収益はあったもののUX(顧客体験)の悪化が著しく、半日ほどで外した」(片岡氏)という。
若い世代の利用が中心で課金が難しく、プライバシー規制の強化で広告による収益確保にも難しさが増しており、各企業はマネタイズの手法を模索する。
後継を狙うのは日本発のアプリだけではない。米スタートアップのMixerBoxは昨年末に位置情報共有アプリ「友どこ」の日本語バージョンの提供を始めた。主に台湾などアジアで展開しており、日本でもユーザーの拡大をめざす。Z世代をめぐる利用者獲得競争はさらに激化しそうだ。(鬼頭めぐみ)