凸版印刷の香港子会社、南アのIT企業買収
凸版印刷の香港子会社で、金融決済システムを提供するToppan Gravity(トッパングラビティ)は、南アフリカのIT(情報通信)企業のFace Technologies(フェーステクノロジーズ)社をこのほど買収した。フェーステクノロジーズ社はアフリカで運転免許や身分証明書などの政府系システムを手掛けている。両社のノウハウを生かし、アフリカで政府・金融機関向けサービスを拡大する。
凸版印刷は買収額を非公表としている。買収に伴い、フェーステクノロジーズ社は社名をToppan FaceTech(トッパンフェーステック)に変更する予定だ。
トッパングラビティは主に中国で、ICカードの決済システムなどを展開している。フェーステクノロジーズ社はアフリカで各国の政府に対し、住民票や身分証明書などをデジタルで管理する政府系IDソリューションの導入や運用の支援をしている。
トッパングラビティはフェーステクノロジーズ社のアフリカの拠点を生かして、アフリカ市場で金融決済システムの参入や政府系IDソリューションを拡大する。凸版印刷のグループ企業の顔認証やワンタイムパスワードなどの技術も活用し、フェーステクノロジーズ社が展開する政府系IDソリューションの技術の向上も図る。
国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)では2030年までに全ての人々に法的な身分証明を提供するとしており、凸版印刷はデジタル技術で身分を証明できる政府系IDソリューションを強化している。フェーステクノロジーズ社によると、アフリカでの政府系IDソリューション市場は今後5年で規模が2倍に成長するといい、凸版側はアフリカでの需要を取り込む狙いだ。