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ENEOSが再生エネ新興買収 2000億円、石油依存転換

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ENEOSはJREの再生エネ電源を取り込み、成長の柱に据える(山形県酒田市のJREの陸上風力)

ENEOSホールディングスは再生可能エネルギー新興企業のジャパン・リニューアブル・エナジー(JRE、東京・港)を買収する方針を固めた。買収額は2000億円程度の見通し。世界ではエネルギー大手による太陽光発電や風力など再生エネ投資が拡大している。脱炭素時代を見据え、石油依存からの構造転換を加速する。

脱炭素の流れは世界的に強まっている。電動車へのシフトなどで石油需要は今後縮小する見通し。政府は2050年に温暖化ガス排出量の実質ゼロを目指すと掲げ、投資家からの圧力も増している。エネルギー大手は再生エネ分野に活路を求めており、ENEOSも大型投資に踏み切る。JREの足元の売上高に比べて投資額が大きいが成長性は高いと考えた。

JREの株主である米ゴールドマン・サックスとシンガポール政府投資公社(GIC)から全株式を取得する。来週にもゴールドマンなどと基本合意し、公表する方向で最終調整に入った。国内の石油元売り大手による再生エネ新興企業の大型買収は初めて。

JREは2012年創業の新興エネルギー企業だ。現在、日本や台湾で計60の太陽光や風力、バイオマスの発電所を手がける。開発中の発電所を含めた合計出力は約88万キロワットと、原子力発電所1基分に相当する。東京商工リサーチによると、20年12月期の売上高は36億円、純利益は6億7800万円。

ENEOSが売上高36億円の新興企業の買収に巨額の資金を投じるのは、JREの洋上風力発電のノウハウや権益を取り込む狙いが大きい。自前で洋上風力を開発するよりも早く成長市場に参入できると考えた。

JREの太陽光発電にも成長余地があると見る。開発中を含めて計約60万キロワットの太陽光発電所を持ち、政府の固定価格買い取り制度(FIT)の価格が下がる前の高単価で売れる権利を持つ発電所も多い。将来の安定収益が見込めると評価し、JREの負債を除いた企業価値を2000億円程度とはじいた。

政府は洋上風力を「再生エネの主力電源化の切り札」と位置づけ、40年に発電出力を4500万キロワットまで増やす目標を掲げる。陸上より安定して強い風が吹き、発電量がぶれにくいのが特徴だ。ただ、国の指定地域入りが条件になるほか、地元の漁協関係者との交渉に時間がかかるため国内での商業利用はほぼない。

JREは長崎県や秋田県、北海道などで洋上風力の開発を進める。完成後の同社の洋上風力の出力は計100万キロワットを超える規模になる計画だ。30年以降の普及をにらみ、ゴールドマンの資金力を背景に開発に取り組んできた。JREに対しては国内外から買収の打診があり、複数の企業が買収交渉にあたったが、ゴールドマンが金額や買収後の相乗効果などをみてENEOSへの売却を決めたもようだ。

ENEOSは23年3月期までの中期経営計画で、再生エネ関連に4000億円投資する方針。今回の買収にほぼ半分を充てる。国内の石油需要の減少が続くなか、買収をてこに再生エネ事業を成長の柱に据えて脱炭素時代の競争に備える。

ENEOSは「再生可能エネルギーをはじめとする環境配慮型エネルギーの積極的な推進・拡大に取り組んでいる。ジャパン・リニューアブル・エナジー社の買収を含め、様々な検討を行っていることは事実」とコメントした。

世界のエネルギー各社は再生エネ分野の育成を急いでいる。英BPはクリーンエネルギーの年間投資額を直近の5億ドルから、25年に年30億~40億ドルに引き上げる。石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)によると、欧米メジャーの投資額に占める脱炭素分野の比率は現状の1割以下から25年には2割に迫る。

石油製品の需要はピークだった1999年から20年には4割近く減った。経済産業省は今後も減少傾向が続くと指摘する。

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