オホーツク海の流氷、増減に赤道域の気象影響 筑波大
筑波大学の植田宏昭教授らは、オホーツク海の海氷(流氷)の年ごとの増減に北太平洋や赤道域など広範な地域の気象が影響することを明らかにした。2022年夏のように赤道域の海面温度が下がるラニーニャ現象が起きると、冬の北太平洋の低気圧が弱まりオホーツク海の海氷は少なくなる。季節予報の精緻化につながる成果だ。

海氷の観測や人工衛星による観測などから、冬の北太平洋に停滞するアリューシャン低気圧が強まると海氷が多くなることを明らかにした。海氷が増えるとアリューシャン低気圧がさらに強まり、それによって海氷が増えるという正の循環が働くことも分かった。
アリューシャン低気圧の強弱は、遠く離れた赤道域の海面温度が低下するラニーニャ現象や上昇するエルニーニョ現象の影響を受けることが知られている。今回の研究結果と併せると、赤道域の気象はオホーツク海の海氷の増減に影響を与えると分かった。
夏の天候から冬の気温や降雪量を推定するといった季節予報の精緻化につながる。植田教授は「季節予報は衣料や観光など様々な経済活動に生かせる。(グローバルな気候が)市民の生活に関わるという気づきを与えられる成果だ」と話す。