日本郵便とACSL、物流ドローン発表 23年度以降実用へ

日本郵便と日本郵政キャピタル、ドローン開発を手掛けるACSLは6日、大型物流ドローンの新機体を発表した。従来機体より最大積載量は約3倍、飛行距離は約3.5倍になる。3社は2021年に業務提携し、配達に適したドローンの開発を進めていた。改正航空法施行で解禁された有人地帯での目視外飛行「レベル4」を前提とした性能で、23年度以降の配送実用化を目指す。
日本郵便とACSLは17年からドローン配達の実証実験に取り組んできた。新たに開発したドローンは従来の機体で1.7キログラムだった最大積載量を5キログラムまで増やし、飛行距離は10キロメートルから35キロメートルまで伸ばした。荷物収納は機体上部から、出す際は下部から可能で使いやすい設計とした。
山間部などで電波状況が悪かったり、雨風が強かったりする際の飛行にはまだ課題があり、コスト面も含めて今後の実証実験で検証を進める。機体は完成後、安全性を証明する型式認証を取得し、23年度以降の使用開始を目指す。物流業界ではドライバー不足が深刻化しており、ドローン配送による省人化に期待が高まっている。
日本郵便オペレーション改革部の西嶋優部長は「長距離を飛べるようになり、個人宅への配送だけではなく郵便局間の輸送にも使える。実用化への取り組みを進めていきたい」と話す。ACSLの鷲谷聡之社長は「物流専用機として利便性の高い機体となった。生活空間の中に入ってくるものなのでデザインも愛着がわくようにした」と強調した。

インプレス総合研究所(東京・千代田)によると、日本のドローンビジネスの市場規模は21年度は前年度比25%増の約2300億円だが、27年度には約8000億円まで拡大する見込み。橋などのインフラ点検や農薬散布に加えて今後、物流分野でのドローン活用の拡大が予想される。