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KUSABI、100億円の1号ファンド IT関連に投資

異なる大手ベンチャーキャピタル(VC)で経験を積んだ3人のベンチャーキャピタリストが独立し、新たなVCを立ち上げた。社名はKUSABI(クサビ、東京・中央)で、1号ファンドの運用総額はこのほど100億円に達した。金融とIT(情報技術)を融合したフィンテックの起業家が近年増えている日本橋茅場町を拠点に、主にIT関連のスタートアップに投資する。

元ニッセイ・キャピタルの永井研行氏、元ジャフコの吉田淳也氏、元グロービス・キャピタル・パートナーズの渡辺佑規氏が共同で設立した。「シード」「アーリー」と呼ばれる創業間もないスタートアップに1社あたり2000万〜5億円を投じる。運用資金の8割は情報通信やITサービスに、残り2割は研究開発型ディープテックなどに投じる方針だ。

スタートアップの外部筆頭株主として資金調達を主導する「リード投資家」となることを基本戦略とする。出資後は経営に深く関与する「ハンズオン」で、資本政策や成長戦略を支援する。すでに21社、20億円超を出資しており、2028年までに最大60社に投資する。企業の成長に応じた追加出資も行い、33年までに新規株式公開(IPO)などでエグジット(投資回収)をめざす。

1号ファンドの出資者には官民ファンドの産業革新投資機構、中小企業基盤整備機構のほか、三井住友銀行、SMBC日興証券、ニッセイ・キャピタルなどの金融投資家、日本橋兜町・茅場町の再開発に取り組む平和不動産などが名を連ねた。最終的な運用総額は「110億円程度に増える可能性がある」という。

国内では大手VCから独立したキャピタリストが新たなVCを起こす動きが活発だが、1号ファンドの運用規模が100億円を超えるのは珍しい。代表パートナーの3人は10年以上のVC経験を持ち、かつて永井氏はSansan、吉田氏はギフティ、渡辺氏はメタップスなどにそれぞれ投資。計17社のIPOを含めて30社超をエグジットした。こうした実績や、異なる大手VCに所属した3人の知見を融合して投資先を支援できる点など将来性が評価されたようだ。

渡辺氏は「シード期に投資するVCの多くはバラマキ型になっており、リード役が不在で資金調達できない企業も多い」と指摘する。3人が集合して積極的にリードを取ることで「起業家にとって価値が大きいVCをつくりたい」と意気込む。

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