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EXITしなくても…

SmartTimes GMOペイメントゲートウェイ副社長兼GMOベンチャーパートナーズファウンディングパートナー村松竜氏

NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞日経産業新聞 Smart Times

国内外で投資をして気づく大きな違いに、目指すEXIT(出口)がある。海外の起業家は成功した暁には会社売却だと考える人は多い。大きなインパクトのある事業なら、GAFAなど100兆円単位の時価総額の事業会社が自社の株式のほんの少しを使って丸ごと千億、時に兆単位で買ってくれるからだ。

もちろん起業家はカネだけのために事業を大きくするのではない。しかし成功のあと大きなリターンが自分だけでなく投資家にも社員にもなければ、日々激烈なプレッシャーにさらされるスタートアップに取り組む人が増えるはずもない。

EXITが会社売却なのは、ゼロから事業を作り、昼夜問わず働きやっと黒字化し、長いトンネルを抜けた後に「上場企業の経営」が待ってるなんて嫌だ、と思うからだ。5000人も社員がいて、様々な組織の課題に悩まされ、世界中の投資家の目線や要求に向き合う会社経営なんてやりたくないという起業家が実はほとんどなのだ。

出資する投資家も上場より売却を好むことの方が多い。「ゼロイチ」と「大組織のかじ取り」には全く別の素質が求められリスクがある。そして上場すると様々なルールで持ち株を売りにくくなる。下がるリスクだってある。

インドネシアで決済会社を立ち上げたアメリカ人起業家がいる。10年前、人口2.5億人という市場に狙いを定めた彼はジャカルタに移住した。しかしビジネスが軌道に乗るまで思いのほか時間がかかった。ハーバードMBA卒の彼は創業3年で黒字化を目指していた。しかし資金集めにとても苦労した。東南アジアは、2010年前半は投資家マネーがまだ集まりにくい時代だった。

惨たんたる苦労の末やっと黒字化したのは創業から6年後だった。彼は「これで一区切りついた」と会社売却を考えた。一定の達成感を感じ、そして彼はとても疲れていた。出資者も投下金額が5倍になり、疲れている起業家を前にすると「もうここらで手を打つか」と弱気になることがあるのも事実だ。

しかし、決済会社というのは一たび黒字化すると、一気に利益が増えるということが私には経験的に分かっていたので「利益が急増し、これからがおもしろくなる本番です」「一番盛り上がる時間を前に、疲れたからとパーティーから帰るのですか」と力説した。

彼は売却せず挑戦を続けた。4年後の今、社員は10倍以上の400人、利益も企業価値も数十倍になった。彼らの決済サービスはインドネシアを飛び出してインド、エジプトなど10カ国以上で展開している。

今は会う度に「ここまでになるとはお互い信じられないね」と言いながら「売却せずいっそこのまま上場企業の経営に挑戦したらうれしいな」と内心思っている。

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