JR東日本、山手線など運賃10円値上げ 23年3月から
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JR東日本は5日、2023年3月から、山手線各駅など首都圏の一部区間の鉄道運賃を一律10円値上げすると発表した。国土交通省がホームドア設置など駅のバリアフリー化を促すために鉄道料金制度を見直したことを受けた措置。36年ごろまでに駅のホームドアの整備費などで約5900億円の費用が見込まれ、今回の値上げでその約半分をまかなう方針だ。
5日の定例記者会見で深沢祐二社長が明らかにした。国土交通省は21年12月、駅の段差解消やホームドア設置などの整備費用をまかなう目的で現行料金に一定額を上乗せすることを認めるよう制度を改正。22年から事業者の届け出を受け付けており、5日にJR東が初めて申請した。
運賃値上げの対象となる区間は、山手線各駅や埼京線の大宮―大崎など16路線278駅。これまで利用者数が多いことや私鉄との競争力維持の観点から、他の区間に比べて乗車料金を安く設定していた。定期券では6カ月分で1420円値上げし、小児料金は値上げ後の大人料金の半額とする。一連の運賃改正により年間約230億円の増収を見込む。
国交省は、追加料金で得た収入はホームドアやエレベーターのほか、車両の車椅子スペースなどの整備費に充てることを求めている。JR東は同日、31年度末までに在来線の主要路線330駅の計758番線においてホームドアを設置する計画を示した。当初計画より1年前倒しし、対象番線も拡大する。ホームドアの整備はその後も継続し、36年3月までに約5900億円の費用を見込む。「そのうちの半分を利用者からいただきたい」(深沢社長)としている。