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中南米の新興デジタル銀行、資金調達が過去最高に

スマートフォンの普及を背景に中南米で新興のデジタル銀行が急成長している
CBINSIGHTS
CBインサイツの調査によると、中南米に拠点を置く新興のデジタル銀行「チャレンジャーバンク」の資金調達は2020年に金額、件数とも過去最高となった。中南米では銀行口座を持たない人が多い半面、スマートフォンが普及していることから、デジタル金融サービスの大きな潜在需要がある。また、政府も規制緩和でフィンテック企業を後押ししている。こうした追い風を受けて急成長するこの地域の新興デジタル銀行の動向をCBインサイツが分析した。
日本経済新聞社は、スタートアップ企業やそれに投資するベンチャーキャピタルなどの動向を調査・分析する米CBインサイツ(ニューヨーク)と業務提携しています。同社の発行するスタートアップ企業やテクノロジーに関するリポートを日本語に翻訳し、日経電子版に週2回掲載しています。

中南米はここ数年、デジタルバンキング技術をいち早く採用し「チャレンジャーバンク(新興銀行)」の拠点としての地位を確立している。この分野のスタートアップによる資金調達件数と調達額は年々増えている。

中南米に拠点を置くチャレンジャーバンクの20年の資金調達件数は19件で、調達額は前年比55%増の12億ドルと過去最高を記録した。

20年の中南米のチャレンジャーバンクによる調達額、過去最高を記録 16~20年の中南米のチャレンジャーバンクの調達件数と調達額(単位は100万ドル)

知っておくべきこと

・中南米、チャレンジャーバンクの発展に適した環境 :中南米は銀行の個人利用率が低く、成人人口の半数以上が口座を持っていない。しかし、携帯電話の普及率は7割に上り、携帯電話の7割以上をスマートフォンが占めている。つまり、中南米の多くの人はデジタルに接続しているが、従来の銀行システムからは締め出されている。チャレンジャーバンクはテクノロジーを使いこなす消費行動を利用し、銀行口座を持たない層に働きかけることができる。

・中南米でデジタルバンキングが最も発達しているのはブラジル :ブラジルのチャレンジャーバンクの数と合計調達額は他の中南米各国の合計を上回る。ブラジルに拠点を置くチャレンジャーバンクの20年の調達件数は11件、合計調達額は10億ドル以上で、同年の中南米のチャレンジャーバンクによる調達額全体の9割を占めた。

調達額トップ3のヌーバンク(Nubank、調達額18億ドル)、ネオン(Neon、4億2000万ドル)、C6バンク(C6 Bank、3億4900万ドル)はいずれもブラジルに拠点がある。ヌーバンク(企業価値250億ドル)とC6バンク(21億ドル)は、中南米に2行しかないチャレンジャーバンクのユニコーン(企業価値が10億ドルを超える未上場企業)だ。

・2番目に大きな拠点はメキシコ:メキシコに拠点を置くチャレンジャーバンクの20年の調達件数は7件で、調達額は前年比144%増の1億1000万ドルだった。もっとも、メキシコはブラジルに比べると成長途上にある。メキシコのチャレンジャーバンクが20年に実施した資金調達ラウンドのうち、初期段階のラウンドは86%を占めた。アルボ(Albo)、ストリ(Stori)、フォンデアドラ(Fondeadora)、クラー(Klar)、オイスターフィナンシャル(Oyster Financial)はいずれも20年に調達ラウンドで資金を集めた。

・新型コロナウイルスの感染拡大によりデジタルバンキングサービスの導入が加速:中南米のチャレンジャーバンクの多くがコロナの影響で利用者数が急増したことを明らかにしている。20年末時点のヌーバンクの利用者は前年末比68%増の3300万人で、20年1~3月期には1日平均4万2000人が新規加入した。ネオンの利用者は20年3~9月に26%増え、C6バンクの当座預金口座の数は20年1~8月に150%増えた。クラーの顧客基盤はコロナ下で3倍になった。

中南米の主なチャレンジャーバンク(CBインサイツのデータを活用し、中南米の主なチャレンジャーバンクを国ごとに示した)

次の展開は

・チャレンジャーバンク、域内での拡大で引き続き成長:中南米の多くの既存チャレンジャーバンクは中南米域内での事業拡大を最優先している。ヌーバンクは最近実施したシリーズGで調達した4億ドルをメキシコとコロンビアへの事業拡大に充てている。アルゼンチンのウアラ(Uala)は20年7~9月期、初の海外進出先としてメキシコに事業を拡大した。

・コロナ後もデジタルバンキングの導入が続くかどうかは消費者の行動次第:コロナ下では国内全域に及ぶロックダウン(都市封鎖)や規制により顧客はデジタル手段の採用を余儀なくされ、チャレンジャーバンクは利用者基盤を急拡大している。だが、ワクチン接種が進んで地域経済が開放されれば、現金志向が強い中南米で顧客がデジタル習慣を維持するかどうかは分からない。

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