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JAL、コロナ禍の中計発表 LCCで成長目指すが難航も

中期経営計画について記者会見する日本航空の赤坂社長

日本航空(JAL)は7日、2026年3月期までの中期経営計画を発表した。新型コロナウイルスの感染が収束した後を見据え、国際線を「稼げる体質」に転換することを目指す。「JAL」ブランドで低収益路線の運休や機材削減を進める一方で、グループの格安航空会社(LCC)とは連携を深める。

JALはアジアの観光需要について「国際的なビジネス需要よりはコロナ収束後の回復が早い」とみており、それでも収益の柱となる国内線需要の先行きは、ワクチン接種が今後どこまで進むかに依存するところが大きい。旅客減が続いて貨物や非航空事業の強化だけで耐えしのげなければ、追加の合理化策なども視野に入ってくる。

「様々な変化に対応して持続的な成長を遂げたい」。赤坂祐二社長は記者会見で中期経営計画の達成について、こう述べた。26年3月期にEBIT(利払い・税引き前損益)で1850億円の黒字(21年3月期は3983億円の赤字)を目指す。

目標達成に向けた具体策の1つが国際線の構造改革だ。JALブランドで展開する主力のフルサービスキャリア(FSC)事業では機材数を24年3月期までに20年3月期比で17%減らし、低収益路線の運休や減便も急ぐ。

この方針に沿って成田と釜山、高雄を結ぶ2路線の運休も発表した。

これに対してLCCはグループ連携で拡大路線を打ち出した。少額出資するLCCの春秋航空日本(千葉県成田市)を6月末にも連結子会社にするほか、中距離路線を手掛ける傘下のLCCのジップエア・トーキョー(同)はアジアなどで新規路線を増やしていく方針だ。

これまで国際線は高価格帯のビジネス客が主力だったが、コロナ禍による移動制限は今後も続き、回復には時間がかかる。反対に「観光の回復は早まる」とみており、アジア路線に力を入れる。

今後は成長に必要な投資資金を確保し続けられるかが焦点となる。公募増資を実施して手元資金は4000億円を超え、3000億円のコミットメントラインも残している。足元の現金流出額は月間100億~150億円程度だ。3月期末の有利子負債残高は5151億円で、ANAホールディングス(HD)の半分以下にとどまる。

それでも航空会社は固定費の5割を「機材を保有することによるコスト」が占める。航空収入が見込めなければ固定費の重荷は続く。新型コロナによる旅客需要の「蒸発」で21年3月期の連結最終損益は2866億円の赤字(前の期は480億円の黒字)だった。12年に再上場した後、初めての赤字となっている。

これからも大型機「ボーイング777」の早期退役などでコスト削減を進めるが、足元ではコロナ変異型の感染拡大が深刻になっている。これまで国際線で拡大戦略を取ってきたANAHDに比べればコロナ禍への耐性はあるとの見方も存在するが、航空需要の回復が遅れれば中計の目標達成は望みにくい。

どんな方向性で構造改革を進めるか、経営陣には慎重な判断が求められている。

(川上梓)

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