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楽天、1~9月の最終赤字2580億円 携帯契約の減少続く

楽天グループが11日発表した2022年1~9月期連結決算(国際会計基準)は、最終損益が2580億円の赤字(前年同期は1039億円の赤字)だった。携帯電話事業が足を引っ張り、同期間の最終赤字は4年連続で過去最大となった。四半期ベースでは携帯電話事業の赤字幅は縮小傾向にある。5月に「0円プラン」廃止を発表してから契約数は9月末までに45万件減った。基地局などの設備投資が財務を圧迫している。子会社上場による資金調達のメドを年内につけられるかが焦点となる。

売上高にあたる売上収益は前年同期比14%増の1兆3647億円だった。経済再開が進む中で旅行予約などが好調に推移し、ネット通販「楽天市場」などのインターネットサービス事業の売上収益は伸びた。金融事業はクレジットカードの取扱高や銀行の貸出残高が拡大した。営業損益は2870億円の赤字(前年同期は1083億円の赤字)だった。

楽天グループの三木谷浩史会長兼社長はネット通販や金融事業について「非常に順調に進捗している」と語った。

22年12月期通期の業績見通しについては従来予想通り、売上収益で証券サービスを除いて前期比2桁の成長を目指す。利益見通しは示さず、携帯電話事業では23年12月期中の単月黒字化の目標も据え置いた。

携帯電話事業は財務を圧迫し続けている。7~9月期の同事業の営業赤字は1208億円で、1~3月期の1350億円をピークに減少傾向にある。だが、赤字幅の縮小は4~6月期比で3%にとどまった。

携帯電話事業では基地局の建設などにこれまで1兆円超を投じてきた。費用は主に借り入れや社債で対応し、9月末時点の有利子負債(金融事業を含む)は2兆7337億円にのぼる。6月には個人向けに1500億円の普通社債(愛称=楽天モバイル債)を発行した。23~25年に3800億円前後の社債の償還を予定する。

格付け大手のS&Pグローバルは9月、楽天の長期発行体格付けを引き下げ方向の「クレジット・ウオッチ」に指定。21年7月に「投機的水準」となる「ダブルBプラス」に下げている。年内に負債に頼らない資本性資金の調達ができないと判断すれば格付けをさらに1段階下げる可能性もある。格付投資情報センター(R&I)も10月、楽天グループの発行体格付け(シングルAマイナス)の方向性を「安定的」から「ネガティブ」に変更した。

11日の決算説明会では投資家の不安を払拭するため、従来なかった財務戦略を説明する時間を用意。広瀬研二最高財務責任者(CFO)は「楽天銀行や楽天証券の新規上場などで資本性資金の調達を進めるほか、モバイル以外の営業キャッシュフローも拡大していく」と強調した。楽天証券はみずほフィナンシャルグループ(FG)の出資を受け、2日には楽天グループが配当を通じて775億円を吸い上げた。

携帯電話の契約件数の減少も高水準だった。5月に月間1ギガバイトまで0円で利用できる「0円プラン」の廃止を発表。9月末時点で自社回線の契約者数は455万件となり6月末から22万件減少した。0円廃止の発表以降、45万件減ったことになる。

UBS証券の福山健司アナリストは「他社の格安ブランドが攻勢を強めるなか、契約者数の増加は喫緊の課題だ」と指摘する。楽天によると、11月に入ってからは契約件数は純増傾向にあるという。

7月から最低料金が980円(税抜き)の新プランを導入し、ARPU(1契約当たりの月間平均収入)の向上を目指している。11日にはこれまで非公表だったARPUを公表した。1000円に満たなかったARPUは0円プランの廃止発表以降は上昇傾向が顕著になり、9月末時点で1472円だという。だがNTTドコモは4060円、KDDIは3920円、ソフトバンクは3880円だ。

楽天が再割り当てを求めている、つながりやすい周波数帯「プラチナバンド」については、24年3月の利用開始を目指す考えを改めて示した。総務省の有識者会議は8日、移行期間や費用について楽天の主張におおむね沿った報告書案をまとめた。ただ、プラチナバンドを獲得したとしても「通信品質で他社と横並びになるにすぎず、即座に契約者数の増加に貢献する可能性は低い」(MM総研の横田英明研究部長)との見方もある。(西城彰子、秦野貫)

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