透析患者、コロナワクチンで抗体増えにくく 横浜市大
横浜市立大学の田村功一主任教授らは血液透析を受けている患者では新型コロナウイルスのワクチン接種後に抗体の量が増えにくいことが分かったと発表した。抗体の量の最大値は健康な人の約3分の1だった。患者の栄養状態を改善したりビタミンDを補充したりすると抗体の量を高められる可能性があることも分かった。
慢性腎臓病が進行して血液透析を受けている国内の患者約410人と、透析施設の健康な医療スタッフ約160人を調べた。2回目のワクチン接種から6カ月後まで複数回血液を検査し、新型コロナウイルスの表面のたんぱく質に作用する抗体の量の変化を調べた。
どちらのグループも接種1カ月後に抗体の量が最大になり、その後減った。患者の抗体の量は健康な人より少なく、最大値は健康な人の約3分の1だった。
ただし抗体の量が減る速度には違いがみられず、最大値を高められれば血液透析を受けている患者でも抗体量が多い状態を維持しやすいとみられる。栄養を取れている人や貧血状態を改善している人、ビタミンDを補充している人などは血液透析を受けていても抗体量の最大値が比較的高い傾向にあった。
慢性腎臓病の患者は免疫に関わる細胞の機能が落ちており、他のワクチンでも接種後に抗体量が増えにくいことが分かっている。新型コロナワクチンについてはイスラエルや米国などから血液透析患者の抗体量の長期的な経過のデータが報告されていたが、日本など東アジアからはこれまで報告がなかったとしている。