川崎重工 一時2%高、水素事業の拡大期待
銘柄診断
4日の東京株式市場で川崎重工業株が一時、前日比50円(2%)高の2768円を付けた。1日に水素関連事業の売上高を2031年3月期に3000億円規模と、従来計画から上方修正すると発表。脱炭素の取り組みが加速するとの期待を受け、買いを集めている。

終値は前日比48円(2%)高の2766円だった。同社は1日に中期計画の進捗を説明。31年3月期の水素関連事業の売上高目標を20年11月に示した1200億円から3000億円規模に引き上げた。世界的な脱炭素シフトを受け需要の高まりが想定されるためだ。
川崎重工は水素発電設備や世界初の液化水素運搬船などの開発を進めている。「個人を中心に脱炭素のテーマ物色は広がっている」(松井証券の窪田朋一郎氏)ことなどから買いにつながった。
コロナ禍からの業績回復も下支えする。22年3月期の連結最終損益は170億円の黒字(前期は193億円の赤字)の見通しだ。民間航空機の機体やエンジン部品を手がける事業の回復がけん引しており、野村証券の前川健太郎氏はリポートで「状況は厳しいが最悪期を脱しつつある」と指摘する。
一方で予想PER(株価収益率)は27倍で、東証1部平均(約16倍)を上回る。一段の株価上昇には業績改善の上積みなどが必要になってきそうだ。