/

日野自動車、排ガスデータ改ざん 最大11万台に不正

国交省「極めて遺憾」

(更新)

日野自動車は4日、国内工場で製造する中大型のトラックとバスについて、ディーゼルエンジンの排出ガスなどのデータを改ざんし、国土交通省に提出していたと発表した。最大で同社の年間国内販売台数の2倍にあたる約11万5500台に搭載されたエンジンが不正な数値だった疑いがある。評価試験中に浄化装置を交換するなど、基準値をクリアするため悪質な不正を行っていた実態が明らかになった。

日野は自動車の販売許可にあたる「型式認証」を取得するために実施しているエンジンの排ガス評価試験や燃費試験で不正なデータを国交省に提出していた。不正のあった3種類のエンジンを載せた車は出荷を止めた。

日野の小木曽聡社長は4日に開いた記者会見で「お客様など様々な方にご迷惑とご心配をおかけし、深くおわびする」と陳謝した。不正の背景については「数値目標の達成やスケジュールを厳守することへのプレッシャーなどへの対応が取られてこなかったことがある」と述べた。

2018年11月、北米市場向け車のエンジンが米国の法規に対応できていないことが発覚し、社内調査を開始。その後、日本市場向けのエンジンにまで調査対象を広げたことで、今回の不正行為が判明した。

16年に三菱自動車で燃費試験のデータ改ざん問題が発覚した際、国交省から調査指示があったものの、日野は「不正などの問題はなかった」と回答していた。ただ今回、少なくとも16年ごろから不正行為があったことが判明。小木曽社長は「不正を見つけられなかったのは会社としては大きな問題だ」と語った。

不正行為のあった3種類のエンジンのうち中型の1機種は試験の途中で別の浄化装置に交換し、法律の規制値に合う数値になるようにしていた。発覚後の再試験で規制を超過する可能性があることが分かったため、搭載車の4万3000台はリコール(回収・無償修理)対象になる見込みだ。

残りの2種類は測定装置の設定を変更し、実際よりもいい燃費の数値が出るようにしていた。再試験で正しい数値を国に報告する。日野はどの程度数値を改ざんしたかについて明言を避けた。

さらに、小型バス向けの1種類のエンジンで、公表していた燃費効率の数値が実際よりも高い値になっていた。不正の有無は分かっていない。再試験するとともに、不正がなかったか詳細に調査する。

車業界では、独フォルクスワーゲン(VW)のディーゼル車が、試験中だけ有害物質の排出を不正に抑えるソフトウエアを搭載していたことが15年に発覚。三菱自も燃費を実際より良く見せる不正を行っており、日野の事案はこれらに匹敵する悪質な行為といえる。

今回不正の対象になったエンジンの一部はトヨタ自動車いすゞ自動車のバスにも搭載されている。トヨタは3000台、いすゞは1200台が対象になるもようだ。日野は21年11月、トヨタに不正の事実を報告したことを明らかにした。

日野はトヨタの子会社であるものの、独立して事業を運営している。トヨタは4日、「まずは日野が責任を持ってできるだけ速やかに全容を解明し、再発防止に万全を期すことが重要」と強調したうえで、「トヨタとしてもそうした取り組みを今後支援していく」とコメントした。

日野をめぐっては、混乱が続いている。21年以降に搭載予定だったエンジンで米国での認証取得が遅れていることから、米国とカナダの2工場でトラックの生産を停止すると発表。排ガス性能をみる法定エンジンの認証が想定通りに得られなかったことが原因だった。

21年12月には、配管の固定方法が不適切で排ガス中の窒素酸化物が規制値を超えるおそれがあるとして、大型トラック「プロフィア」を約4万7000台リコールすると届け出た。同社によると、「いずれも今回のデータ改ざんには関係していない」という。

日野の21年3月期の小、中、大型トラックとバスの国内販売台数は5万9676台。販売シェア30%強を占める商用車大手の足場は大きく揺らいでいる。

国土交通省は4日「自動車ユーザーの信頼を損ない、自動車認証制度の根幹を揺るがす行為で、極めて遺憾」とコメントした。日野に対し、事実関係の詳細な調査や再発防止策の検討を命じるとともに、トヨタやいすゞ、UDトラックスなど大型車メーカー7社に対しても調査を指示。4月8日を期限に、燃費の評価試験などで同様の不正がないか報告を求めた。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

セレクション

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン