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NEC、搬送ロボットに金融の確率制御応用 効率2倍に

日経クロステック

NECは、安全性を維持しながら無人搬送車(AGV)や無人搬送ロボット(AMR)の搬送効率を向上させる制御技術を開発した。搬送完了までの時間を従来に比べて半減できる。1~2日に東京ビッグサイト(東京・江東)で開催された「ロジスティクスソリューションフェア2022」の同社ブースで、2022年春に発売予定の新型搬送ロボットを披露。将来は新しい制御技術をこの搬送ロボットに搭載する計画だ。

新たな制御技術では、資産運用など主に金融・経済学の分野で使われる「リスクセンシティブ確率制御」と呼ぶ評価手法を応用した。その評価手法とは大まかに次のようなもの。

株などの金融商品の価値は常にランダムに変動するが、少し先の未来における変動の幅はおおよそ予想できる。このとき、数式を解くことで、いくつもの資産価値の変化の仕方が導ける。そして、なるべく変動の幅(=リスク)が小さく、かつ最も利益が見込める資産運用のパターンを選択するという手法だ。

実はAGVも株などと同じように、ランダムに軌道がずれる。床とタイヤの摩擦の違いやセンサーの誤差などが要因となり、同じ指示を与えても同じ軌道にはならないという。

そこでリスクセンシティブ確率制御をAGVの制御に応用し、前述の資産価値における「変動の幅」を「AGVの軌道のズレ(=衝突のリスク)」に、「利益」を「AGVの速さ」などに置き換えて挙動を導出する技術を開発した。

この手法を適用して衝突のリスクに応じてAGVを減速・加速することで、速さと安全性の両立を実現できる。従来の制御方式では、衝突のリスクが高い経路ではあらかじめ減速して走行したり、人が横切った時には通り過ぎるまで停止したりと、安全を優先して搬送の速さを犠牲にしていた。「実力の半分程度の速度でAGVを運用するケースもあり、顧客の生産性を高めるチャンスを逃していた」(同社)という。

同社が途中の交差点を複数の人が往来する20メートルの直線搬送を想定して実験したところ、従来の制御方式のAGVでは搬送完了に45秒かかったのに対して、今回の制御技術を搭載したAGVでは23秒と、ほぼ半分の時間で済んだ。従来のAGVは人が完全に通り過ぎるまで停止したが、同社のAGVは人の前後をすり抜けて通過した。

汎用性の高さも今回開発した制御技術の特徴だ。天井に取り付けたカメラの映像を基に、荷物や障害物、AGVなどを認識。AGVの個体も識別する。制御に必要な情報は全てカメラから取得するため、AGVの機種によらずにこの制御技術を適用できる。

「理論的にはAGVにセンサーは不要」(同社)。実際、同社が22年春に発売予定の新型AGVに搭載するセンサーは、緊急時の衝突回避用のレーダーのみだ。

開発した制御技術は23年度の実用化を目指している。同社は22年春に新型AGVの発売を予定しており、実用化したあかつきにはそのAGVへ搭載する計画だ。AGVを含むシステム導入価格は要相談。

(日経クロステック/日経ものづくり 石橋拓馬)

[日経クロステック 2022年2月3日掲載]

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