/

総合商社の4~6月、5社が最高益 資源高で上振れ余地

収益安定化には「非資源」の動向焦点に

総合商社7社の2021年4~6月期連結決算が4日までに出そろった。鉄鉱石や銅などの資源高を背景に、同日発表した伊藤忠商事住友商事など5社が四半期ベースで最高益となった。通期予想に対する純利益の進捗率は3~5割に達し上振れ余地が高まっている。一方で「資源祭り」は瞬間風速的な面が強い。中期的では安定した収益を稼ぐ非資源分野の動向が焦点になる。

伊藤忠の4~6月期純利益は前年同期の2.6倍の2674億円だった。鉄鉱石価格の上昇などをうけ、金属部門の利益は3.4倍の約780億円と全8部門で最も大きい。全体の純利益の7割を占める非資源分野も好調だ。輸入車販売の機械、欧州でのタイヤ・北米での建材を手がける住生活、食料など、情報・金融を除く7部門が増益だった。

4~6月期時点の通期の純利益予想(5500億円)に対する進捗率は約5割あり、鉢村剛最高財務責任者(CFO)は「期中に上方修正する」と明言した。今後は市況や需要動向を見ながら上振れ幅を精査するという。「24年3月期までの中期経営計画で目標とする6000億円を超える状況」との規模感を示した。

住友商事の4~6月期の最終損益も1073億円の黒字(前年同期は410億円の赤字)に転換し、四半期ベースで最高だ。銀や亜鉛、鉄鉱石などの採算が改善。22年3月期の最終損益を2900億円の黒字(前期は1530億円の赤字)と600億円上方修正した。

足元の進捗率(三井物産と住友商は上方修正前)は7社平均で4割と高い。背景にあるのが鉄鉱石を中心とした資源高だ。鉄鉱石は中国の旺盛な鉄鋼需要で国際価格指数(米調査会社S&Pグローバル・プラッツ算出の中国向けスポット価格、鉄分62%粉鉱、運賃込み)が4月下旬に約10年ぶりに最高値を更新し高止まりしている。

三菱商事では強みとする原料炭や天然ガスの価格が足元で上昇しており、今後本格的に業績に反映される見通し。増一行CFOは通期予想は「上振れする可能性が高い」とみる。

ただ資源価格は一時的な側面が強い。焦点は資源に頼らないビジネスモデルだ。各社は16年3月期にかけて資源価格の急落で赤字が相次いだ苦い経験がある。以降、非資源分野の育成を急ぎ、ヘルスケアや車・航空機関連、IT、小売りなど消費者ビジネスも力を入れている。

こうした非資源分野も景気低迷の影響は受ける。住友商の塩見勝CFOは「航空関連は乗客回復が鈍い。航空会社の経営破綻もあり、航空機リースや航空機関連部品の回復にしばらく時間がかかる」とみる。それでも強みを発揮できれば安定した利益創出は可能だ。

例えば伊藤忠の22年3月期の非資源分野の利益は4460億円でコロナ前の19年3月期と比較すると、約2割の増益を確保する見通し。全体の利益の8割弱を占める稼ぎ頭だ。三井物産も非資源分野が上向いている。同社は3日に通期予想を上方修正したが、生活産業事業など非資源の高い進捗率を反映しておらず、なお上振れ余地がある。

もっとも、資源価格には慎重な見方が多い。三井物産の内田貴和CFOは「鉄鉱石価格は21年末か来年3月末にかけて緩やかに通常の水準に戻ってくる」とみる。市場では「商品市況は(21年度に)ピークアウトする」(モルガン・スタンレーMUFG証券の渡部貴人氏)との見方が出始めた。資源事業の恩恵を取り込みつつ、非資源での安定した収益力を示せるかどうかが焦点になる。

初割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

セレクション

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン

権限不足のため、フォローできません