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建設技術研究所、レーザーでトンネル検査 作業負担軽く

建設コンサルタントの建設技術研究所は、レーザーを使ってトンネルの壁面にあるタイルの劣化状況を効率よく点検できる検査装置を開発した。人の手でハンマーでたたいてタイルの状況を確認する打音検査を代替できることを実験で確認した。2024年度をめどに実用化を目指す。点検現場を省力化できるほか、劣化状況を時系列ごとに定量的に把握できる効果もあるとみている。

新たな検査装置は建設技術研究所とレーザーによるインフラ点検システムを手掛けるフォトンラボ(東京・中央)、量子科学技術研究開発機構が共同で開発した。

振動を与えた際に生じる打音を調べる検査で、ハンマーの役割を果たすレーザーと振動を計測するレーザーの2種類を使う。

トンネルの壁からタイルがはがれそうな兆候があるとき、打音検査で濁った音がでる。新技術でこの音を識別できることを確認した。

検査装置は極めて細かな振動を計測するため、止まった車両からレーザーをタイルに当てて検査する。検査時間そのものは人の手よりかかるものの、点検作業の負担が減らせるという。劣化状況を時系列ごとに定量化できるなどの利点を見込む。

装置はトンネルのコンクリートのひび割れなどの点検に使える機能は確かめていた。このほど壁面に貼られたタイルも調べられるようになった。

タイルはトンネル内の視認性を確保するために使われる。地面にほど近い位置から地上2メートルほどの高さまで、側壁に敷き詰められている。壁面から浮いたり、はがれたりすると走行車両や歩行者に被害が出る可能性がある。

タイルのはがれと落下を防止するため、従来は人間が現場で目視やハンマーによる打音検査を実施していた。トンネル全体にかけて一つ一つのパネルの状況を確認する必要があり、多大な労力がかかっていた。

特に低い位置の点検ではかがんだ状態で実施するため、身体への負担が大きかった。

建設技術研究所などはレーザーによる検査であれば作業者の負担を軽減できるだけでなく、タイルの劣化の状況をデータで可視化した記録に基づいた点検計画づくりなども効率化できるようになるとみている。

レーザーを使った検査をタイルで応用させるには、対象物の表面を細かに傷つける恐れがある課題があった。今回の実験ではタイルへの傷つきを防ぐため、レーザーの出力を最低限に抑えつつ劣化状況を確かめられるようにした。今後、原理的に傷を付けずに済むレーザーの操作手法などの研究開発も進める。

(松添亮甫)

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