「賃金回復、他産業以上に重要」 ANAHD役員・直木氏
春季交渉'23 焦点を聞く
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2023年の春季労使交渉では、新型コロナウイルス禍の打撃を受けた航空や観光などサービス関連産業が賃上げの議論を再開できるかも焦点となる。旅客需要は戻りつつあるが、航空会社にとってコロナ禍で毀損した財務基盤の回復と人への投資をどう両立させるかが課題だ。ANAホールディングス(HD)で人事労政を担当する直木敬陽上席執行役員に聞いた。
――コロナ禍で減額が続いた月例賃金を22年度に戻し、23年度は夏冬...
賃上げは賃金水準を一律に引き上げるベースアップと、勤続年数が上がるごとに増える定期昇給からなる。2014年春季労使交渉(春闘)から政府が産業界に対し賃上げを求める「官製春闘」が始まった。産業界では正社員間でも賃金要求に差をつける「脱一律」の動きが広がる。年功序列モデルが崩れ、生産性向上のために成果や役割に応じて賃金に差をつける流れが強まり、一律での賃上げ要求の意義は薄れている。