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心拍速まると不安がつのる現象 光遺伝学で発見、米大学

米スタンフォード大学の研究チームは、心拍数が上がると不安な感情に関連した行動が起こりやすくなる現象をマウスの実験で発見した。心拍数の変化が脳の特定の領域に影響を及ぼし、マウスが不安を感じたときに見られる行動を引き起こした。感情によって体の反応や行動が変化するだけでなく、心拍という体の変化によって感情が影響を受ける仕組みも存在する可能性があるという。

スタンフォード大のカール・ダイセロス教授らは神経細胞の活動を光で操作する技術「光遺伝学(オプトジェネティクス)」を応用し、マウスの心臓の心筋細胞の活動を光を使って制御する技術を開発した。普段は毎分660回のマウスの心拍数を人為的に同900回にまで上げ、心拍数の増加が行動や脳の活動に与える影響を調べた。人間とは異なり感情を言葉や表情で知ることはできないため、行動に注目した。

屋根のない開けた場所のような不安を感じやすい状況で心拍を速めると、マウスは壁にくっつくようになり、不安の強まりがみられた。こうした潜在的な危険のある状況で、不安に関連した行動が起こりやすくなった。

研究チームはさらに、大脳のひだの奥にある「島皮質」が心拍の変化に反応する部位であることを特定した。島皮質の働きを抑えると、心拍を速めても不安に関連した行動はほとんど起こらなかった。

島皮質は視覚など脳による状況認識と心拍のような身体反応の情報を統合し、不安などの感情を呼び起こす役割を担っている可能性があるという。ダイセロス教授は「島皮質は全身からあらゆる情報を受け取っており、様々な感情の状態に関わっているようだ」と話す。

研究成果は英科学誌ネイチャーに掲載された。ダイセロス教授は光遺伝学を確立した功績によって、ノーベル賞の有力候補と目されている。

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