大王製紙、植物由来素材をレース用EVの車体部品に

大王製紙はレース用の電気自動車(EV)の部品に同社の植物由来素材セルロースナノファイバー(CNF)を提供したと発表した。新しい成形方法で、バンパーやボンネットなどが一体化した大型部品にもCNFを使った。CNFは車体を軽量化でき燃費向上につながる。今後は量産車での採用を目指す。軽量化や強度を訴求しスポーツ用品や家電部材向けとしても売り込む。
レースは6月20日から26日に開かれる。米国コロラド州で開催されるレースはサーキットコースではなく山道を走るため、公道での検証ができるという。大王製紙は2018年から部品を提供している。21年にはドアやルーフパネルに採用され、置き換えた部分は約5割の重さになった。
このほど愛媛大学や川之江造機(愛媛県四国中央市)と共同開発を進め、大型のシート状のCNF成形体を製造できるようになった。1枚のシートから大型部品を製造できるようになり、量産化もしやすくなるという。これまではシート状のCNF成形体を複数枚張り合わせて大型部品を製造していた。
CNFは原料のパルプをナノ(ナノは10億分の1)メートル単位に細かく解きほぐして作り、製品の強度を保ちつつ軽量化できる。同社のCNF成形体は引っ張る力への強度がプラスチックの約5倍という。
軽量化につながるため燃費向上が期待できるとして、自動車向けの部品開発を進めてきた。21年には観光ツアーバスのフロントバンパーにCNFが採用された。

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