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商社3社、資源高で利益8000億円超 供給網リスクも

資源高を追い風に総合商社の収益拡大が続いている。三井物産三菱商事伊藤忠商事丸紅の4社が3日、2022年3月期の連結純利益(国際会計基準)を上方修正すると発表した。原料炭や鉄鉱石、石油などの価格上昇による資源高を背景に、最高益を更新する。もっとも、供給網の混乱など来期に向け懸念もある。

三菱商事や三井物産、伊藤忠の純利益は業界で初となる8000億円台に達する見通しだ。三井物産は同日、22年3月期の純利益予想を前期比2.5倍の8400億円と、従来予想からさらに1200億円引き上げた。上方修正は今期3回目。原料炭や原油・ガスなど資源相場が上昇したほか、液化天然ガス(LNG)の需要が好調で、金属資源事業やエネルギー事業が利益を600億円押し上げる。

資源以外の分野でも、中古車販売や車両リースなどの好調で機械・インフラ事業の利益を200億円上方修正した。3日オンライン会見した内田貴和最高財務責任者(CFO)は「(22年1~3月期の)市況見通しは原料炭以外は変えていない。全てのセグメントで収益力が向上している」と話した。好調な業績を受け、通期の配当見通しを年105円(前期実績は年85円)と、従来予想より10円引き上げた。

2度目の修正となる三菱商事は22年3月期の純利益予想を前期比4.8倍の8200億円に上方修正し、3期ぶりに最高益を更新する。最高益としていた従来予想からさらに800億円を上積みした。サーモン養殖事業で需要が回復し、飼料改良などで生産性が向上したことも寄与する。東南アジアでの自動車販売のほか銅、鉄鉱石なども伸びる。

伊藤忠の22年3月期は従来予想から700億円増やし、前期比2倍の8200億円を見込む。「資源高が想定より長く続いている」(鉢村剛CFO)として、鉄鉱石や石油関連などで400億円上積みした。輸入車販売や北米の建材、食料なども好調で、強みとする非資源分野の各事業でも上方修正した。

資源高の恩恵を受ける商社だが、この環境が続くとは限らない。丸紅は25年3月期に今期予想と同じ純利益4000億円を目指す中期経営計画を発表した。柿木真澄社長は「現在の市況や好調な企業活動は必ずぶり返しがある。原油価格など先行きは非常に不透明で読みにくく、資源高が続かなくなった時に打撃を受ける」と慎重だ。

市場予想平均(QUICKコンセンサス、1月下旬時点)でも、伊藤忠や三菱商事、三井物産の23年3月期の純利益は6000億円前後と今期予想比で減益を見込む。

来期は世界的な半導体不足の影響も色濃く出そうだ。双日は海外の自動車販売台数の年間予想を1割引き下げた。北米や中南米でのディーラー事業が好調で通期予想を上方修正したものの、同社の田中精一CFOは「半導体不足は来期以降も続く」と身構える。

資源高による最高益の中で、稼ぐ力を示す営業収益キャッシュフロー(営業CFから主に運転資本の影響を除く)も各社最高水準になる見通しだ。こうした投資原資をどう活用するかも今後の課題だ。

三井物産の内田CFOは「今期歴史的な高値だった鉄鉱石市況の修正は減益要因になる」としつつ、23年3月期の配当予想を今期比15円増の年120円とした。大手商社は還元拡充で株主に報いながら、資源価格に左右されない非資源分野の強化で成長を持続させつつ、脱炭素に向けた新しいビジネスモデルの構築という課題に向き合う必要がある。

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