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急がれる支出管理のDX

SmartTimes GMOペイメントゲートウェイ副社⻑兼GMOベンチャーパートナーズファウンディングパートナー村松⻯氏

NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞日経産業新聞 Smart Times

インターネットの登場以降、あらゆるモノ、サービスがオンラインで販売、購入できるようになってきた。法人分野ではどうか。いまだにほとんどの購入は見積もりや請求書は紙ベースで、銀行送金なども手作業である。どの会社にもあるこの膨大なペインを解決するために現れてきたのが新ジャンル「企業の支出管理」のデジタルトランスフォーメーション(DX)だ。

審査のバーが高い法人用クレジットカードをスタートアップや中小企業に提供するフィンテックでは米国のBrexやRampが有名だが、彼らはカード以外でも請求書の処理を可能にするなど、サービスの領域を広げている。

Bill.comはいまだ紙の請求書が中心の米国の中小企業間の決済を効率化する業界の雄として、黒字化前ながらも時価総額は2兆円を超えPSR(株価売上高倍率)は約40倍と上場SaaS企業の1つの目安である同10倍を大きく上回っている(4月末時点)。

一口に支出管理と言っても、どの費用項目を扱うかによってそのサービス提供会社のその後の事業展開が変わってくる。出張費などのいわゆる経費処理が主となるのか、人件費につながる給与支払いも扱うのか、販管費にとどまらず商品仕入れなどの原価項目にも踏み込めるのか。支出に関連するデータは企業の資金需要の把握につながり、レンディング事業に応用できよう。

さらに言えば売掛金回収といった売り上げ面の管理を効率化するソリューションも併せて提供できれば企業の経営状態の診断がリアルタイムに近い形で可能となり、データの価値は一段と高まる。金融機関とパートナーシップを組みデータを活用する等の選択肢も当然出てくる。

フィンテックで話題になるのはBNPL(後払い)などのBtoCの領域が多いが、支出管理のようなBtoB領域も解決する課題が明確なため、5年程度の時間軸で「フィンテックの主戦場」になっていく可能性は十分ある。その筆頭が企業の事業運営における重要データを扱う支出管理領域となろう。

インド・東南アジアの同領域のスタートアップには大きなチャンスがあると考えている。ビジネスインフラが急発展中であるこの地域では効率的な支出管理やレンディングなどのサービスに対する需要は一段と大きい。かつ商習慣に地域性があるため、必ずしも米国企業が優位とは限らず現地のスタートアップにも十分チャンスがある。

Y Combinator出身のスタートアップが何社も台頭してきているが、当社ファンドでもこの領域で積極的に投資を行っている。一定の地位を確立できたプレーヤーには大きな見返り(先行優位性)があり、来るフィンテックの主戦場に挑戦する企業を応援していきたい。

[日経産業新聞2022年5月11日付]

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