KDDI障害続く 設備にトラブル、通信量を規制

KDDIは2日、全国で携帯電話の音声通話とインターネット通信などが利用しづらくなるトラブルが起きていると発表した。同社によると、トラブルは午前1時35分から続いている。原因などは調査中で、復旧作業を進めている。宅配便の配送状況が確認できないなど、同社の回線を使う幅広い分野に影響が広がっている。原因について2日午後5時時点での説明では、設備に障害が発生し通信量軽減のための規制をしている、とした。
KDDIが提供する「au」や「UQモバイル」、格安プランの「povo(ポヴォ)」がつながりにくくなっている。2日午後5時時点で復旧のめどは立っていない。
各サービスの個人向けの契約者数は3月末時点で合計3097万件。同社は「お客様には多大なご迷惑をおかけすることを深くおわび申し上げます」とコメントしている。
KDDIの通信回線は同業他社も使う。楽天モバイルは、KDDIから通信回線を借りてサービスを提供する地域で通話・データ通信がしにくくなっている。
MVNO(仮想移動体通信事業者)も影響が出ている。JCOMの「JCOMモバイル」や、関西電力子会社のオプテージ(大阪市)の「mineo(マイネオ)」、インターネットイニシアティブの「IIJmio」で、通話やデータ通信が利用しづらくなっている。

KDDIの回線を使う一般の事業会社にも影響が広がる。日本航空(JAL)は、羽田空港や成田空港などで、スタッフ用無線機が使用できなくなった。
ジェットスター・ジャパン(千葉県成田市)も、社内の業務連絡が一部でしにくくなっている。いずれも、他社の回線を使う無線機への切り替えなどで対応し、運航に影響は出ていない。
ヤマトホールディングスは荷物の配送状況などを確認するシステムで、最新の情報が更新されなくなった。ドライバーが連絡できなかったり、コールセンターに電話がつながらなくなったりしている。
京成バス(千葉県市川市)は、停留所にある2次元バーコードを読み取って運行状況を確認するシステムで、バスの現在地などが正しく表示されていないという。
小田急バス(東京都調布市)も全地球測位システム(GPS)でバスの現在地を把握するシステムが使えなくなっている。運行に影響は出ていないとしている。
大垣共立銀行は店舗外の一部の現金自動預け払い機(ATM)が通信障害で利用できなくなった。商業施設内などにある221台のうち、190台がそれぞれの施設の営業開始時間から使えないという。支店内のATMは通常通り利用できる。
気象庁によると、2日午前1時40分ごろから気温などを観測している地域気象観測システム(アメダス)のデータの一部が配信できなくなっている。全国約1300カ所の観測点のうち、約900カ所でKDDIの回線を使っている。
KDDIは2012年末~13年5月に通信規格「LTE」でのデータ通信の不具合といった大規模な通信障害を相次ぎ起こし、総務省から行政指導を受けた。