ホンダ、燃料電池のコスト6分の1 商用車や定置電源向け - 日本経済新聞
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ホンダ、燃料電池のコスト6分の1 商用車や定置電源向け

ホンダは2日、2020年代半ばに水素で発電する新型の燃料電池システムを法人向けに発売すると発表した。価格は非公表だがコストは30年ごろに旧機種と比べて6分の1まで抑えることを目指す。システムの構造を簡素にする技術革新や量産効果が出せるという。自社の乗用車だけでなく商用車や定置型電源、建設機械などに用途を広げて売り出す。

提携する米ゼネラル・モーターズ(GM)と新たな燃料電池システムを開発した。米ミシガン州にある同社との合弁工場で生産する。出力は80キロワット。販売は当初年2000基程度で始め30年代後半には数十万基まで増やす方針だ。

燃料電池は電気自動車(EV)に使われるリチウムイオン電池よりもエネルギー密度が高く、組み合わせて使えば高出力にできることが特徴だ。自動車ではEVには向かない長距離輸送のトラックなどに適しているとされる。

商用車では、いすゞ自動車や中国東風汽車集団とホンダの燃料電池システムを搭載した大・中型トラックの実証実験に取り組む。さらに、過酷な環境で使用される建設機械向けのほか、データセンターの非常用定置電源としての利用も想定する。

顧客を徐々に拡大し、「30年より前に収益化したい」(青山真二取締役執行役専務)という。水素事業開発部の長谷部哲也部長は「使い勝手や費用面で従来のディーゼルエンジンに匹敵する燃料電池システムを目指す」と語る。

新型は19年に燃料電池車(FCV)「クラリティ フューエルセル」に搭載した旧型に比べてコストを3分の1に抑えた。最終的には6分の1にすることを目指す。電極の触媒に使う白金の量を大幅に減らしたり、システムの構造を簡素にしたりした。

燃料電池やFCVは高価格で普及は進んでいない。クラリティのリース価格は約780万円と、一般的なセダンのハイブリッド車(HV)より300万円以上高かった。ただ、今後は価格低下が見込まれることや企業などの脱炭素需要で市場が拡大する見通しだ。

富士経済によると燃料電池システムの世界市場は30年度に20年度比19倍の5兆1216億円、35年度に同47倍の12兆5813億円になると見込む。ホンダは「30年にシェアで10%程度を目指したい」(長谷部部長)とする。

トヨタ自動車はFCV「ミライ」向けに開発した部品を使い、燃料電池システムの販売を始めた。韓国・現代自動車は中国・広州で燃料電池の新工場を稼働させる。車メーカーでFCVで磨いた技術を活用する例が増えている。

(田辺静、白井咲貴)

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