気体を「構造色」で識別 ガラス基板活用、物材機構
物質・材料研究機構(NIMS)の柴弘太主任研究員らは米ハーバード大学や米コネティカット大学と共同で、気体を流し込んだときの発色によって気体の種類を識別できるデバイスを開発した。高分子とガラス基板を接着させた簡素な構造で、気体の粘度や密度によって光り方が変わる。環境中のガスや生体試料の識別などへの応用を目指す。

「ポリジメチルシロキサン(PDMS)」という柔軟な高分子にプラズマ処理でひだ状の構造を刻み、ガラス基板に密着させた。PDMSとガラスの接着面をこじ開けるように気体を流し込むと、気体の圧力で微細構造が圧縮される。これによって、規則正しく刻んだひだが光を反射して強めることによる「構造色」を発する。ひだの周期を数百ナノ(ナノは10億分の1)メートルにしてガスを流し込むと七色に光ってみえる。
ヘリウム、窒素、アルゴンなど6種類の気体を流し込むと、気体の粘度や密度に応じて光り方が変わった。密度が同じでも粘度が違えば異なる気体として認識できる。従来、環境中のガスや生体が発するガスなど、複数の気体が混ざったガスの識別には特殊な装置が必要だった。
機械学習を用いた画像識別やひだの刻み方の改良などを進め、検出精度を高める。環境ガスや生体ガスの分析、呼気検査など幅広い応用を目指す。