今年度のバター輸入枠、5割増 農水省
農林水産省は1日、2021年度のバター輸入枠を6400トンから9500トンに見直すと発表した。21年度の乳製品の輸入枠のうち、ホエイなどの枠を需要が好調なバターに振り替える。
バターや脱脂粉乳は農水省が輸入量や価格水準を管理する「国家貿易」の下にある。輸入枠は毎年1月に翌年度分を設定し、国内の需給状況に応じて5月と9月に見直される。
新型コロナウイルス禍による乳製品需要の減少や生乳生産量の増加で、⻑期保存のできるバターや脱脂粉乳の生産が増え国内在庫は高水準にある。このため農水省は21年度の乳製品の輸入枠数量を世界貿易機関(WTO)枠で定める13万7千トン(生乳換算)にとどめた。
バターの輸入枠も20年度の1万4000トンから大幅に減らし、高水準にある国内在庫の適正化を図っていた。国やホクレン農業協同組合連合会(札幌市)も割安な輸入品から国産品に振り替える際の差額を乳業メーカーなどに補塡する事業を実施するなど、国産品の消費拡大を推し進めている。
輸入バターについては、産地をうたった製品など「輸入品を限定で使っている製菓などの需要が見込まれる」(農水省)として、国産品とは別の需要を見込んでいる。