1~6月新車販売12%増、半導体不足でコロナ前には戻らず

半導体不足が自動車の販売にも響いている。自動車販売の業界団体が1日発表した1~6月の新車販売台数(軽自動車含む)は前年同期比11.6%増の246万4586台だった。新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛で販売が低迷した20年を上回るが、生産調整による納期遅れなどが響き、コロナ前の19年を1割下回った。シェア争いでは減産幅の大きいホンダが4位に転落した。
日本自動車販売協会連合会(自販連)と全国軽自動車協会連合会(全軽自協)がまとめた。登録車(排気量660cc超)が8.7%増の152万1878台で、軽自動車は16.7%増の94万2708台だった。20年1~6月は新型コロナによる1度目の緊急事態宣言が発令された4月と5月の落ち込みが大きく、19年同期比で20%減だった。21年は需要が堅調に推移したが、半導体不足による生産調整などの影響で19年の水準までは戻らなかった。
半導体部品の供給不足により、各自動車メーカーは需要に応じた生産ができていない。トヨタモビリティ東京によると、6月にトヨタ自動車が東北の工場の一部を停止した影響で、人気の小型車「ヤリス」などで納期が延びている。スズキの北関東の販売店は「『スイフトスポーツ』など一部車種で納車までの期間が2カ月延びている」という。
ホンダが4月に発売した新型「ヴェゼル」は受注が好調なものの、仕様によっては納期が1年先で「購入を諦める客もいる」(都内の販売店)。日産自動車は新型の電気自動車(EV)「アリア」の発売が半導体不足などで半年遅れ、21年冬以降となった。
ブランド別の順位にも影響した。1~6月の新車販売台数では減産幅が相対的に大きいホンダがスズキとダイハツ工業に抜かれ、4位に転落した。ホンダが4位以下になるのは東日本大震災のあった11年(5位)以来10年ぶり。米中では販売が好調だが、国内では2月と5月に鈴鹿製作所(三重県鈴鹿市)を一時停止するなど生産が滞り、20年同期比で0.8%増の31万5813台にとどまった。
ホンダ広報は「部品供給の影響で『フィット』などが計画通り生産できず、登録車の販売に影響がある」と話す。同社の軽の販売は11.5%増えたが、登録車の販売が1割減った。
ブランド別ではトヨタ(レクサス除く)が14.6%増の78万5125台で首位、スズキが18%増の34万6345台で続いた。ダイハツが17.2%増の31万9033台で3位、日産は6.3%増の25万1973台で5位だった。6位以下はマツダ、SUBARU(スバル)、三菱自動車の順だった。
6月単月の販売台数は、登録車が9.2%増の23万4697台で、軽自動車は1.2%減の13万934台だった。登録車は4カ月連続で前年同月比でプラスだったが、軽自動車が9カ月ぶりに前年実績を下回った。
7月以降も半導体不足の収束は見通せない。7月は日産やスズキ、スバル、マツダが国内工場の稼働を一時停止する見込みだ。5月の決算発表時点で、各社は21年度下期に生産を増やして減産の影響を減らす方針を示した。日産は下期に25万台分を挽回生産する計画で、ホンダは通期では半導体不足による減産を打ち消せるとしている。